東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『子供のやること』

tokyomoon2017-03-29

数日前のことだけど、朝起きたら娘が寝ている布団が湿っており、猫がおしっこをしたのかと思ったけど猫の尿の独特の匂いがなく、それで不思議に思い娘に、布団が濡れてるけどおもらししちゃった?と聞いたら、「ううん、してないよ、そういえば猫がお布団の中に入ってきてモゾモゾしてて」と応えたので、やはり猫かと思ったら、妻がいきなり立ち上がり洗濯機へと向かった。するとそこにおもらし跡がはっきりとある娘の下着があった。つまるところ娘が嘘をついたわけだけど、驚くほどさらりと嘘をついたのですっかり騙された。妻にはその手の嘘を何回かついているようで、あの子、最近そうなのだ、と嘘を見破ったが、洗濯機の中に証拠品を隠滅し、嘘の証言を予め用意しておく周到さで、子供ってそういう部分があることは承知ではあるけれど、なんとも見事に嘘をつくもんだなぁと、少しばかり感心したというのが率直なところだった。感心してる場合じゃないよ、と妻には怒られたけど。


今村夏子さんの『こちらあみ子』を読む。この面白さをどう形容すればいいのだろうか。言葉の使い方もリズムがあるようなところがありそれで面白く思うところもあるし、何か物哀しさを感じさせる文章で、その文体が素晴らしいところもある。物語の中を生きる登場人物たちの描写が視覚的に訴えるような表現も素晴らしいし、何より描かれる物語が哀しくて滑稽で愛おしい。新作の『あひる』もよかったけど、『こちらあみ子』もとても面白かった。


なんとなく、子供の、悪気のない行為の、その悪気がないだけに攻めることができない部分が、そこにあみ子の生まれ持った特性が重なり、なんとも言えぬ哀しさがとても良い