東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『音楽が響く夜/14歳の国』

tokyomoon2018-09-22

いろいろな資料の作成がとてつもなく大変で、それに時間を費やす中で、通常業務の仕事もこなす。そうこうしていると、1日に一個くらいの割合で思いもよらぬトラブルが発生し、それもまた対処しなくてはならないという状況になる。

ある程度、人と人はコミュニケーションの成立が可能だと思っていた。話せば分かると。結果、物別れになることも当然あるけれど、それでも互いの意見の相違と理解できれば、やむ得ないと思えもする。が、まったくこちらの意見に耳を傾けてくれず、一方的に自分の主張ばかりを繰り返し、それで満足げにやりとりを勝手に終了してしまうという事態に直面し、呆然とした。これほど会話が成立しないことがあるのか。腹立たしさだけをこちらにぶつけて、自分の主張ばかり。難しい、どのようにしたらそういう人とコミュニケーションが成り立つのか。いろいろ悩む。


ここに来て、気温は下がって過ごしやすくなってきたものの、雨もたくさん降る。個人的な感覚では今年の梅雨より雨が多いような気もする。リビングのエアコンが、これまで見たことがない埃汚れで黒くなっており、掃除をしなければと思う。


そんな最中。一昨日。仕事の用件が西早稲田付近で終わり、お腹が空いたのでラーメンを食べて、さて帰ろうと思ったが、ビールを一杯くらい飲んで帰りたいなぁと思い、新宿方面から歩いて帰るときにいつも気になっていた明治通りに面したバーに入って見た。店主さん一人。ビールを頼む。お腹は満たされているのでつまみは不要。少し飲んでフーッと息をつき、しばらくボッーとしていると「その携帯に音楽、入ってますか?」と店主さんから不意に聞かれた。携帯に音楽を入れる習慣がないので、「あまり入ってないです」と曖昧に答えると、「じゃあ、少しは入ってるんですか?それ聞かせてください」と言われてしまい、すいません、全然入ってないんです、と答えると、普段はどんな音楽を聴くんですか?とさらに聞かれたので、youtubeでharuka nakamuraさんやクラムボンの動画を見せる。すると、「貸してください」と手を出され、言われるがままに携帯を渡すと、スピーカーにそれをつないで流し始めた。店主さんはコップを洗ったり、たまにトイレの方に行って煙が店内にまわらないように気をつけながらタバコを吸いながら、音楽を聞いていた。その間は会話もない。店はきれいで、店内の壁は少し暗めの緑に塗られている。カウリスマキの映画に出てくるような濃い色合いの店。そんな店内にクラムボンの「ナイトクルージング」が大音量で響く。お店は、大きい窓で外と仕切られていて、店の中からでも明治通りの様子がよくわかる。23時過ぎの明治通りは大学が近いせいか学生も多いが、仕事帰りのサラリーマンもたくさん歩いている。「ナイトクルージング」は透明の窓を隔てて、外には聞こえていない。大音量の「ナイトクルージング」は心地いい。店内にはピアノが置いてあり、レコードも棚にたくさん置いてある。レコードはかけないのですか、と訊ねると、これは飾りなんでね、と不思議なはぐらかされ方をされた。Youtubeの音楽を一通り聞いた後、店主さんは一枚のCDをかけた。ピアノを弾きながら歌う女性ボーカルのアルバム。このアルバムはどなたですか?と聞くと、いやいや、これは気にしなくていいからと、これまたはぐらかされた。不思議な人だなぁと思うけど、なんだかそのスタンスが心地いい距離感だった。


昨日。仕事を急ぎ終えて、夕方に事務所を飛び出す。昨日と同じく西早稲田に向かうが、今回は早稲田通りをさらに進み、早稲田大学のどらま館へ。以前に来たことがあるようなないような。ひとまずきれいに改装されていた。遊園地再生事業団『14歳の国』を観劇。戯曲は読んだことがあった。短い台詞のやりとりで、テンポよく、たわいもないやりとりで物語は横滑りをしていく。劇場の小ささを逆手にとった舞台装置で、学校の教室が舞台という設定で机は置かれているが、俳優たちが出はけに使う一か所の出入り口とは別の場所から不意に一人の女優が登場するのだけど、その存在感の不気味さが際立つ。衣装の色合いもきれいで、劇は50分、50分の前半、後半にわかれているが、前半はそれぞれ明るめの服で登場するが、後半、ある一人の女優の衣装が黒であり、それが物語の終わりにある悲劇を予兆させるようないでたち。物語のクライマックス、ナイフが象徴的に、そして不意に出現するが、そのナイフの重さが、ナイフを落とした時に響く音でズシリと伝わってくる。刺激をうけて劇場を後にする。


帰る前に早稲田近くのスタバでメール作業。23時くらいでも若い人たちが多い。早稲田からは歩いて帰れる。ふらふら歩きながら気になったものを写真で撮るもの楽しい。

空を見上げると月が大きかった。