東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『宮川一夫さんのドキュメンタリー』

tokyomoon2018-12-13

会社には大きな幹の落葉樹があり、毎年この季節は落ち葉が多い。毎年の風物詩として枯葉掃除があるが、今年はまだそれほどではない。



一昨日、ETV特集『カメラマンMIYAGAWAの奇跡』というカメラマン宮川一夫さんを追ったドキュメンタリーを観た。黒沢明溝口健二、そして小津安二郎と名だたる監督のもとで撮影を担当したカメラマンのドキュメンタリー。『羅生門』の太陽にカメラを向けた撮影で大きな衣装用の鏡を使用したエピソードや、『雨月物語』で黒を際立たせるため木に墨を塗った撮影、など。小津監督の『浮草』であえて俯瞰の画を提案しつつも後年までそのカットについて正しかったのかと悩むエピソードは、『浮草』がとても好きな作品なので興味深い。(山田洋次監督へのインタビューで、『浮草』の雨のシーンについて語るところがあるが、「松竹ではあんな雨の降らせ方をしないが、大映で撮ったらあんな雨を降らせるんから」とおっしゃる部分があり、かつての撮影所体制で、各撮影所にそれぞれの特色あるのだなぁと面白ろかった)



度肝を抜いたのが、映画『無法松の一生』のクライマックス、無法松の生涯を走馬灯のように様々な映像が流れる場面で本来であれば編集でつないでいくのだけど、そうすると画質が落ちることを懸念した宮川は、フィルムのフィートを計算して、各シーンをコマ単位で撮影する方法を取ったこと。撮影は順撮りではないためフィルムを行ったり来たりさせて撮るだけでもヒリヒリとするのに、さらにNGもゆるされない。「そんな方法を取れる人だからとんでもない度胸があるのでしょう」と当時のことを振り返るスタッフさんのインタビューがあったが、当時の撮影状況を想像するととてつもないことなのだなぁと想像する。



常に挑みの姿勢で撮影に臨んでいたことを知ることができるドキュメンタリーでとても面白かった。



今日は朝起きたら快晴。