東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『老舗の閉店/インプット不足』

行列ができるほどの有名店ではなかったけれど、たまにテレビでも紹介され、美味しい昔ながらのラーメン屋が閉店していることを、店の近くを通った嫁さんが気づいて教えてくれた。試しにネットで調べてみると、記事になっているページを見つける。その記事によるとコロナによる影響ではなく、ご自宅として住んでいるマンションが老朽化して建て替えるにあたりお店の近くから離れなくてはならないそうで、年齢、距離、生活のことなどいろいろ考えてラーメン屋をたたむことにしたのだという。お世辞にも綺麗なお店ではなかったけれど、味は昔ながらのシンプルな醤油ラーメンで、佇まいは昭和のお店。近所の工事作業員の方を中心とした男中心の客層だったけど、たまに僕らみたいな家族連れも来る。ラーメンの他に、チャーハンもとても美味しかった。チャーハンを作るために卵を割って溶くのだけど、割った後の殻を出汁を煮込むスープの寸胴にポイっといれていた。なんでも出汁になるんだなぁと思った覚えがある。食後、会計をしていると冷蔵庫からヤクルトを出してくれて子供にくれた。そこまで頻繁には通ってなかったけれど、「どこいこうか」のレパートリーにはいつも必ず入っていた。残念だなぁと思うけれど、これは仕方がない。

 

いろいろと仕事が微妙に終わらず、何かが落ち着くと、また何かがふつふつと出てくる。ほんと、どこかで誰かが見てて、操っているのかなぁくらい、一つ終わったタイミングで、一つまた始まる。もちろん、忙しいことは幸いだなぁと思うし、もっともっと仕事も軌道に乗ればと思う。少なからず、自分の力で何がどこまでできるのか、みたいなことを試したいとも思うし、その反面、安定したい、みたいな気持ちもある。会社員とはいえ、公務員ということでもないし、このご時世、何が起こるかわからないし、いろいろ自分から動いていかなければならない。

 

とはいえ、インプットが足りてない。観たい映画や舞台は数知れず。お金も無いが、何より時間が無い。昔はまだレイトショーなら観れた気がしたけれど、今は、レイトショーの時間にもいろいろと連絡がくるし、忙しない。ペドロ・コスタの『ヴィタリナ』は観たいんだ。なんとしても映画館で。あと、台湾映画の『バナナパラダイス』も観たい。友人からの情報で早稲田松竹で『ポーラX』がかかると聞いた。で、調べると早稲田松竹で『アルプススタンドのはしの方』と『37セカンズ』の二作上映もあるじゃないか。観たいものは尽きないよ。時間だ。頼むから、23時以降のレイトショーを上映してくれ。それなら観れる。渋谷で仕事があったあと、ふと通りすがりの映画館の看板を観ると、観たい映画のポスターが4種類貼ってある。どれも素敵なポスターじゃないか。ちくしょう、観れないよ。

 

と、いうことでインプットが足りず、せめともと、『歩く、観る、待つ-ペドロ・コスタ映画論講義-』を購入。装丁が綺麗。少し読むだけでも刺激的。

仕事帰り、夜遅く。普段使う駅とは違う駅から歩いて帰っており、ふと閉店したラーメン屋さんを見て帰ろうと思い、お店の近くへ向かう。静かな住宅街にある。駅に近いわけではないけれど、以前は商店街のように個人経営のお店が並んでいたらしいけれど、次第に閉店してしまい、そのラーメン屋と少しのお店だけが残る形になった。そのラーメン屋さんは人気があった。お店は看板はあるけれど、どこか灯が消えたような静けさがある。なんだかこういう時期なだけに、長年続いていた店がなくなるのは寂しい。