東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『寛容さがあればと思う』

いろいろと仕事が忙しいのはおそらく誰もがそうだろうし、別に自分だけ特別なものではないのだけど、とはいえ、やはり忙しいなぁと嘆きたい気持ちがある。嘆くというと語弊があるか。別に休みたいとかそういう気持ちは無いし、働くことは全然苦ではない。ただ、最近は落ち着いて映画館に行けなかったり、舞台も観れてないし、小説も落ち着いて読めてないことがどうにもいかんと思ってしまう。

 

そんな中で母が入院し、その手続きなど、いろいろなやりとりの窓口になっている。息子として当然のことだし、それは仕方がない。が、いろいろなことが絶妙に湧いて出てきて少々ざわざわしている自分がいる。例えば、入院した日、仕事をしていると夕方に着信があった。履歴をみると16時52分である。着信には気づいたが電話はでれなかった。すると、16時57分にまた着信。それも出れず。で、また17時3分に着信。携帯に留守電機能をいれてないのもよくないのだが。で、17時半ごろに折り返すと、警備員室につながる。業務時間が終了しているという。留守電機能をいれてないからどの部署から電話が来たのかもわからない。それで、まぁ、何か大事なことならまたかかってくるだろうと放置をして、この前、お見舞いに行ったら、看護師の方から「次男さんが電話にでないらしく、困っており」と告げられる。

 

待ってくれ。

 

病院から電話がきたのは上に記載した3回だけだし、12分の間に3回着信があっただけだ。それに出れないだけで電話に出ない、と決められても困る。そのことはさすがに猛烈に訴えた。

 

で、それはそれとして話が終わり。

 

その日、次回、面会に来るときに持ってきて欲しいものなどの指示を受けた。そのメモを受け取り、用意をするよういろいろ準備をする。で、叔母さんが週明けに面会に行ってくれることになっていたので、買い物をお願いする。すると、翌日の朝、兄からLINEで連絡がくる。「必要な買い物、嫁がして持っていくから」と一文。いや、ちょっと待ってくれ。なぜそれ、急に。それで慌てて叔母さんに連絡。叔母さんは買い物へ行く準備などいろいろしてくれていたのだ。その後、兄にも電話。善意は有難いが、こっちでいろいろ動いていることに関して、不意に動かないでほしいとお願いする。と、いうのも、結果、僕が連絡するからだ。他にもちらほら似たようなことがあり、「〇〇〇が必要だと思うから、病院に確認してほしい」だとか、「母の病状をきちんと口頭で確認すべきだから、連絡しておいて」だとか、そういったことがそれぞれ善意から、僕に連絡がくる。こちらはそれらのことを、仕事の合間にこなしたりする。

 

他にも、病院の人たちは、面会に行く人たちに次々と新しい指示を伝え、それが間接的に僕の耳に入る。ふわっとした情報なだけにそれを病院に確認すると「そのことについては昨日、面会にきた方に説明しましたが」と軽く面倒くさがる感じで対応される。

 

良かれと思うことを各自が各自で行い、それを一本化する。

 

みんな善意だ。が、結果的にまとまらないことは、僕がまとめねばならなくなり、うーん、言葉にするとアレですが、正直言うと、手間が増える。それだけやるならいいのだが。難しい。つくづく思う。

 

似たようなことが仕事でもいろいろある。それぞれが自分に課せられたことを遂行するために頑張っている。が、中には、会社内でやらねばならぬことも出てくる。自分の仕事ばかりではなく、共同でやらねばならないこと。それをみんな均等に分配することは不可能だ。するとどうしたって偏るし、気にしてくれる人ほど、共同の仕事で負荷がかかるようなことに陥ってしまう。善意が仇になるようではやりきれない。が、そうなってしまうこともある世の中だ。なんか感傷的な歌の歌詞のようだ。

 

できうる限り、背負いこんでなんとかしなければいかんなぁと思う。なぜならそれっぽいことをやらねばならないポジションで働いているからだ。だけど、それでも一人ができる事には限界がある。おまけに厄年だし、母は入院している。飲み込み切らんのだ。飲み込んだとしてもだいぶ苦い味がするからふつふつとイライラも湧いてしまう。

 

そんな中、僕はのろしレコードの『コールドスリープ』を繰り返し聴く日々だ。折坂悠太さんのボーカルがなんとも優しく、歌詞もどこか不思議な空気感で良い。曲の途中で宮沢賢治さんの『星めぐりの歌』の一節が演奏されてそれもまた美しい。

 

総てに対して寛容になれるような強さやおおらかさを身につけたいと思うが、そういった境地にはなかなか至らない。

 

昨日、今日は心地いい晴天が続く。夜になると少しばかり肌寒いが。そして、土曜に行ったジムの筋肉痛が時間差でやってきて身体の節々は痛いが。

 

そんなこんなで10月が過ぎていく。