東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『母のこと』

仕事を休んで、実家へ行く。母の介護認定の申請をしており、その通知書類が実家に届いているということでそれを取りに行く。結果、仕事は休んだものの、仕事している時と同じような時間に電車に乗る。東京から埼玉へ向かう下りの電車は空いているので落ち着いて有難い。

 

久しぶりに実家。窓を開けて、父の仏前に線香をあげる。いろいろ放置してしまい申し訳ないが、優先順位は生きている者で勘弁してほしい。母と、我々の生活である。ポストに届いていた郵送物をいろいろチェック。「振り込め」みたいな通知がわんさか。人は生きるために、モロモロ支払うなぁ。ご近所さんにご挨拶して、準備をして、シャッターを閉める。また、真っ暗になる室内。ゆるせ、父。

 

それから大宮へ。そして、大宮からバスに乗り母の病院へ。その後の経過の報告を受ける。おおむね、元気。母もしっかり御飯も食べているせいか、以前の痩せていた感じよりも健康的になっている気がする。

 

それから、退院後の話にいたる。それまでは、介護老人保健施設(通称、老健)に春先、暖かくなるまではお世話になる予定だったのだけど、その日、母と話したお医者さんからは、母が自宅へ戻っての生活を望んでいるという言葉がでてきた。元気になってきたこともあるのだろうし、もちろん、それは母の望むべきことを第一に考えるべきだろう。が、多少、自分の中にざわつく気持ちもあったのは事実だ。ただ、まぁ、とはいえ、それは別。先日、今後のために、自宅のいろいろな環境をチェックしてもらうために、家の間取りや、寸法、そして、写真を撮って病院側に提出していた。手すりが必要か、とか、段差が家にあるかどうかのチェックだ。その写真を、看護師さんと一緒にみた母が、そこに懐かしさを感じたのだという。そして、そこに父の遺骨が、まだ置いてること。以前は、父の想い出がありすぎて、辛いということで、老健にしばらくいることを望んでいた。9月に突然倒れた母は、気が付いたら病院にいて、そこからずっと寝たきり、それからリハビリで病院生活。写真とはいえ、実家の建物を見たのは3か月ぶりだった。

 

「お父さんがね、そこにいるからね」

 

と母は涙ながらに呟いて、それ以上は特に何もいわなかった。

 

つまりは、前向きになってきているということだ。それは、本当に良いことだと思う。

説明に同席してくれた叔母さんと、バスを待つ間、いくつかポストに入っていてよくわからない書類関係のことで話を聞く。年金、市民税、電話料金の支払い、口座名義変更。まったく苦手な内容で、とても面倒に感じる。とはいえ、一つ一つ、ゆっくりでもやっていかねばならない。

 

バスに揺られて大宮駅へ。座っているシートが暖かくて気持ちが良い。外を見ると、広い空の向こうに夕焼けがとても綺麗だった。

 

大宮に着いてから、喫茶店で仕事。少し間があくと、いろいろとメールが来ている。ラインが来ている。うーん、いろいろはいってきているなぁ。

 

ようやく一息ついて、帰る間際。大宮のブックオフで本を物色。探していた吉田秋生さんの「櫻の園」を見つける。ありがたいありがたい。

 

ほくほくした気持ちになり電車で東京方面へ。いろいろ行ったり来たりした一日。