東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『ヴィタリナと強い風』

朝、娘と起きたつもりだったのだけど、二度寝してしまって、気がついたら娘が学校へでかけてしまっていた。あまり娘と一緒に過ごす時間も少ないのにダメなことをした。

なぜか右膝が痛い。昨夜、ボッーとテレビを観てて、そのまま寝落ちしてしまっていて、寒くて布団に潜り込んだのだけどその時は痛みは無かった気もするのだけど。心当たりが無い。

外に出ると風が強い。一日、雨という予報だったので傘を持って出かける。早稲田まで歩く。うまい具合に雨が止んでいたので朝の散歩気分。風は強いけど、寒さはそこまで感じない。

早稲田松竹で、ペドロ・コスタ監督『ヴィタリナ』を観る。まるで夜の闇の中しかないのかと思ってしまうような世界で、どこからか少しだけ強い光が差し込む。コントラストの強い構図。スタンダードサイズで撮影されていて、どこか閉塞感、圧迫感が強くある。物語の序盤、朝だと感じられる場面、主人公のヴィタリナが玄関先の前で、光を受けながら外を見ていると、亡くなった旦那の仲間と思われる男たちが次々と家に入ってくる。部屋の中は男たちで埋め尽くされる。この映画の中で、男は、そういった息苦しい存在として描かれているように思う。

わずかに、暗い夜の町を徘徊するシーンはあるものの、大半が、部屋や教会など、室内の場面で映画は進行する。どこから当たるのか、強い光が当たるが、その光によって、むしろ闇が際立つようにも感じる。

映画の終盤、妻を亡くした近隣に住む男性に、「愛が必要なのだ」と力強く語るヴィタリナ。部屋と部屋の境目に立ち、語る強い瞳が切り取られているが、部屋の枠取りを含めて切り取られた構図が美しい女性の自画像を見ているかのような印象。その後、突如、昼の光が射す屋外のシーンになる。闇は嘘のように無くなる。墓に弔うシーンのあと、無き旦那の残した家の屋根の修理をする男たちの画が続き、そのあとは、説明のないまた別の、屋根を直す2人の人物のシーンになる。穏やかで風も無い、快晴の元、2人は協力して屋根を直している。それは中盤で語られた故郷に、手作りで家を建てる主人公たちの幸福な回想シーンのようにも思えたが、できることなら、今より先の未来の幸福なシーンであってほしい。

いずれにしても、素晴らしかった。久しぶりのペドロ・コスタ。とても刺激を受けた。よくわからないけど、無性にお腹がすき、映画館近くのやよい軒で、鯖の塩焼き定食に、納豆や牛肉小皿も追加して、ご飯も二杯食べた。

風が猛烈に強くなる中、その後、メールなど諸々作業。今日は落ち着くだろうと思った矢先に、いくつかモロモロが発生。不思議だなぁと思う。なぜ、絶妙なこの落ち着いたかなと思ったタイミングで。

夕方になり、パソコンの電池が切れたので、これにて終了。今日は実家へ。駅を降りたら、吹き飛ばされるんじゃ無いかと思わんばかりの風。相変わらず膝に謎の痛み。なんでもかんでも老いのせいかと思ってしまう