東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『ドライブマイカー』

3日。9時起床。徐々に日常に向けて朝起きる時間を早める。本来ならきちんと朝早く起きるべきなので、偉そうなことは言えない。朝食を食べて、掃除をしてから、仕事へ。

と、いいつつ、職場へ行く手前で少しより道。せっかく晴れているのに、室内に入るのは勿体ない気がして、代々木公園へ。明治神宮へ行く人の人数がべらぼうに多い。陽射しが気持ち良い。原武史さんの『最終列車』を引き続き読む。なんと面白いのだろう。

それから、仕事。メール作業。年末に先送りしていたもの。基本的に先送りしたものというのは結果的にやることになる。当たり前のことだけど。で、仕事を終えて一息。

ふと、映画を検索すると、夕方に新宿で『ドライブマイカー』がやっている。三時間という上映時間に怯んでいたのだけど、仕事が本格的に始まると観るのもいろいろ大変になるので、と、思い立って観にいく。

結果的に、とても良かった。3時間という長さを少しも感じさせない。村上春樹さんの原作も、予告編さえも見ずに予備知識無しで見た。普段、映画もできるだけそうしているけれど、それでよかったと思える。どこまでが原作に忠実なのだろう。チェーホフは原作から引用されているのだろうか。47歳のワーニャと、ソーニャの関係性と、西島秀俊さん演じる家福、三浦透子さん演じる渡利は、対の存在としてある。二人は互いの抱えるものを肯定しつつ、その生きづらさの中で、それでも「生きて行かねば」と慰めあう。家福がクライマックスで言葉にする『正しく傷つけばよかった』という言葉の重さは計り知れない。それにしても、劇中劇そのものがとても良い。様々な言語、そして言葉をしゃべれない俳優の手話も存在するチェーホフ。海外の俳優さんたちのお芝居も素晴らしいし、エンドクレジットにちらっと、青年団チェルフィッチュ、地点、多田淳之介さんのお名前があり、キャストにも松田弘子さん、猪股俊明さん、安部聡子さん、そして、山村崇子さんという俳優の面々が。西島秀俊さん、三浦透子さん、霧島れいかさん、そして岡田将生さんの発する言葉が良い。あっという間の3時間だった。それでいて、観終わった後は、クタクタになる。映画の最後、三浦透子さん演じる女性がいたのは、コロナ禍の韓国だった。敢えて、時代が特定できるようなマスクの日常をいれたのは、チェーホフという時代を越えた普遍の作品に対して、いま、この時代であることを、示すためなのだろうか。マスクを外した三浦さん演じる渡利の顔の傷は目立たないようになっていたのは、過去を忘れたわけではなく、過去を抱えながらも、それでも生きていくことを決意した女性の姿を示しているように思えた。

それにしても、『ワーニャ叔父さん』の戯曲を読みたくなる映画。帰宅して、本棚を探したものの、櫻の園と三人姉妹しかない。