東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

青い車

■ 昨日は勤労感謝の日だったらしいが、それほど勤労していない私も、感謝もされていないのに、すっかり休ませて貰う。

■ その前日。22日月曜日。大学時代からの同級生であるHくんと、Hくんの同僚Tくん、一緒に芝居をやったYさん、SさんとMと新宿で飲む。この組み合わせは、ちょっと意外だけれども、僕が出るからという理由で芝居を観に来てくれたHくんが、その芝居ですっかりSさんのファンになってしまい、それ以後「Sさんを紹介してくれ」とHくんに会うたびに言われつづけて、そういうわけでじゃあ飲みましょうという話にまとまって、飲むことになったのでした。

■ Hくんは最初、結構緊張していて、そんなHくんは大学時代から見たことがなかったので面白かったけれども、次第に緊張が解れたみたいで、楽しく飲んでいた。SさんとYさんの二人が集まるとこれはちょっと止めようがない勢いがついてしまう。大阪出身のHくんがタジロイでしまうほどの勢いで、僕が少し口に出した言葉をどんどん拾ってつっこみを入れてくるわ、初めてちゃんとしゃべる会社の同僚Tくんを関西出身というだけで「ソースくさい」と言い放つわのやりたい放題だった。Hくんが「東京でこんなつっこみを見るとは・・」とおどろいていたが、そういうことも含めて楽しかった。

■ あと面白かったのはSさんが最近はまっているバンドにフジファブリックという名をあげて「本当にいいのよ」と力説していると、Hくんが「じゃあ買います」とその場で即答し、次の日になってHくんから写メールでそのフジファブリックのアルバムのジャケットの写真が送られてきて「買っちゃいました」とあり、面白かった。早い、早いよHくん。

■ 昨日、ずっと読んでいた坂口安吾の『堕落論』(集英社文庫)を読了。この著者にも沸点から離れた融点で物を見つめる目線を感じる。それにしても天皇制について

天皇制自体は真理ではなく、また自然でもないが、そこに至る歴史的な発見や洞察において軽々しく否定しがたい深刻な意味を含んでおり、ただ表面的な真理や自然法則だけでは割り切れない』

 と語っているが、これを発表したのが昭和21年って。まだ戦後間もない天皇が神様とか言われていた時代にこれを発表しているとは、ちょっと凄すぎる。

■ 今日。夜勤に行く前に渋谷のシネ・アミューズでよしもとよしもと原作、奥原浩志監督作品「青い車」を観る。この映画館、水曜は男女問わず1000円。素晴らしい。原作がすごい短い短編だったので映画はけっこう物語が加えられている。原作本では語られない過去の話がてんこ盛り。原作では死んで登場しない主人公リチオの元彼女(アケミ)との話が付け加えられている。原作では、死んで登場しない「すでに不在。しかも死んじゃって」というどうにもこうにもな状態がこの話の肝だと思えた分、登場してしまう話が挿入される映画は、もちろんクライマックスでは原作に忠実に「不在」になるものの、その「不在」感になんとなく原作を読んだ印象よりも「軽さ」を感じる。原作はもっと圧倒的にどうしよもない、絶望的な「不在」だった。あと、確か原作ではスピッツの曲がドライブしていた時に流れていたような気がしたけれども、そういったものがなくなっていて、それはそれでまぁ監督や脚本家の意思を感じられるが、原作本にあった90年代的な雰囲気はなくなっていた。90年代の冷めた(ように感じる)肌触りも『青い車』の魅力のように感じられたが、その辺を「イマの空気」に変えようとしたのか。それはスピッツが挿入されていないことのほかに、関西大震災の話もカットしているあたりから想像されるが、どうなのだろうか。僕は90年代の空気があるからこその作品だなと思ったもので、どうも違和感。

■ でも曽我部恵一さんの音楽には泣けて仕方なかった。この映画にあっているのかどうかとかそういったことを考える思考は停止。ただただ切なくて泣けた。このサントラが映画館でしか購入できないと聞き、すわと乗り込んですかさず購入したが、どうやら曽我部さんのサイトから通販で購入できるそうな。便利な世の中で素敵です。

■ 話は変わり、アメリカの大統領選挙に関する興味深いブログを発見。この方の日記に書かれていることを見ると、力を持っている人が世の中にはいて、で、その力の使い方に冗談ではなく「世界は終末」に向かっていると感じる。アメリカ在住の方のブログなだけあって、直接アメリカの空気を感じているからこそ、このような文体になると理解できるし、それはやはり遠く日本にいても「怖さ」すら感じる。ただそういう見方に対する違和感を感じるという意見もまた理解できる。で、そういった様々な意見からどう考えるかが重要だ。もっと考える。興味のある方は以下に載せたアドレス順に見てみるといいかもしれません。まぁそれもあくまで私の視点ですが。

 http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20041027
 この前後にも興味深い日記が満載です。
http://d.hatena.ne.jp/bakuhatugoro/
上の方の日記に対する個人的な意見が書いてあります。とても参考になります。