東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

若い人達の飲み会

■ ニュースによると今日の夜はふたご座流星群が観測できる最良の日だそうだ。そういえばなんの流星群か忘れたけど、北海道にいた時、流星群が見れるというニュースを聞き十勝帯広空港の辺りのやけに暗い場所に車を走らせて流星群を見に行った覚えがある。本当に沢山の流れ星が見えた。1分間に10個以上見えた。あれはよかった。今回は夜勤に入ってしまって見る機会を逸した。仕事場のある天王洲アイル駅に降りて、もう十分暗くなっている夜空を見上げても、眩くなるような光を発する高層ビル群で狭い東京の空はぼんやりとした顔をしているだけだった。

■ 土曜の仕事後に稽古に行くために町田へ向かった。仕事が終わってから稽古に参加するのは初めてだったが、稽古場に着いたのは20時過ぎだった。やはり遅くなってしまう。22時までの稽古場ならばそれでも少しは参加できるが、21時までの稽古場だと救いがない。迷惑をかけなければいいんだけど。稽古の後に役者の親睦会があった。ほとんどの人達がその日は家に帰らずに飲むことになっていて、僕もそれに参加。町田で飲む場合、稽古後に終電を気にして飲んでしまうとわずか30分しかいられないことになるから、ならばいっそのこと夜通しで位の気分にもなる。

■ それにしてもみんな若いよ。大学生の持つ飲み会の雰囲気っていうのが確かにある。誰かが言った言葉にその周りにいる人がどんどん新たな話題を加えていく。いっぱい笑うし、お酒も飲む。元気元気。もう僕はそれを横で見ているだけで楽しくなってくる。深夜2時過ぎに居酒屋を後にして町田に住んでいる役者のMくんの家にみんなで上がり込む。総勢10名。話題は尽きない。「世界にこの10人しかいなくなったらどうするか」という話題をしゃべったり、「自分にナルチシズムを感じる仕草はどういうものか」など本当にくだらない話をいつまでも話す。そして何故かサザエさんのマスオの声真似が流行。「サザエ、そりゃないよ」とかいろいろ言っている。僕はすぐに眠気に負けてきて、みんなから「松瀬さん、大丈夫ですか?」「目がとろんとしてますよ」と言われる始末。明け方には寝てしまった。若くないな、俺は。

■ そうして昨日は昼から稽古。そのまま朝を迎えたメンバーと稽古場へ向かう。さすがにみんな疲れていたけれども、稽古は稽古。とりあえず少しずつ稽古は進む。しかしまだまだだろう。俺は早く台詞を覚えなければない。

ミラン・クンデラの「不滅」(集英社)読了。とても面白かった。恋愛小説かと思えば、突然ゲーテヘミングウェイの会話というあり得ない設定の話が挿入されたり、哲学的な話題のエッセイが書かれたり、いきなり作者本人が登場してきたりする。解体されたテクスト。それらが、一見するとバラバラに点在しているが、どこか深淵でつながっていたりする。そして全然関係なかったりする。小説という表現方法と徹底的に向き合うからこそ、既成の小説とはまったく別の姿をしている。そして重要なことはこの作家が小説の中で「イマの時代」を徹底的にみつめていること。直接的にそれを言葉にするのではなく、文字に、小説にして「イマ」を語る。「イマ」を生きる人達を描く。それこそが小説にしか持つことができない「強度」だ。しかしタイトルにもなっている「不滅」という言葉の織り成す物語はとても美しい。

『不滅の欲望の仕草は、二つの標識しか知らない。
 ここにある自我と
 遠くにある遥かな地平と。

 そして二つの観念しか知らない。
 自我という絶対と
 世界という絶対と。』          ―ミラン・クンデラ『不滅』より

もっとたくさん本を読もう。そしてイマを考えなくては。