東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『タルコフスキーオールナイト』

■ 東京は雨の朝で、全国的にも雨のようで。ちょっと前に四国とかで全然雨が降らず深刻な水不足だったというようなことを聞いていたから、これでちょっとは回復するのかもしれないけど、それにしてもバランスが悪い。まったく降らず、降ったら大雨っていうのは。雨季と乾季じゃないんだから。温帯湿潤気候なんですから、この国は。それに水害が出ている地域もあるわけだし、あまり手放しで喜べるものではないか。


■ 東京は寒い。昨日や今日は長袖じゃないと寒いくらい。寝るときも毛布の上に掛け布団とたっぷりかけて寝た。他の地域は雨が降りながらもジメジメ暑いらしいけど、関東はなんだか季節が逆戻りしていて、こういうことも含めてやっぱりおかしな気候だ。


■ 土曜の夜に池袋の新文芸座にA・タルコフスキー監督のオールナイト第2回目を観にいった。やはり混んでいたけど、今回も事前に前売り券を購入していたので座席はいいポジションを確保。心地いい映像。『鏡』という作品の中で男が草原を歩いている時に突如風が吹いてくるシーンがあるんだけど、あれはどうやって撮っているのだろう。偶然風が起きたのだろうか。それとも画面の見えない部分に送風機でも設置しているのだろうか。なんにせよ、完成された映像だけを見せられるとその美しさにただただ魅せられる。


■ あとタルコフスキーの映画は犬がよく出てくる気がする。で、遠吠えの音が入る。実際に犬が遠吠えをする映像はなく、何かの風景のバックに遠吠えが入る。遠吠えの音が音楽代わりになっている。これがまたいい。犬の遠吠えだけが聴こえる。逆に言うと犬の遠吠え以外聴こえない。遠吠えが響いてむしろ一層静寂な感じを引き立たせているように感じる。犬の遠吠えってやつはなんだか理由も分からず侘しい気分になってくる。


■ あと気になったのが『サクリファイス』という映画で使われている音楽がおそらく尺八。そうじゃなかったとしても日本の古来から伝わる吹奏楽器だと思われる。この楽器を使った音楽が、主人公のおっさんがステレオから流しているというシチュエーションで頻繁に使われる。最初は別に日本の曲ということを強調せずに使っているのかと思ったら、物語のクライマックスで主人公の家族が「父が日本に夢中で、いっつも日本の音楽を聴いている」という言葉を発していた。


■ この時、日本のものが使われているというだけでただ手放しで喜んでみたい気にもなるけど、もうちょっと踏みとどまって「他の国の人が考える日本」を考えてみる必要があるような気にもなる。そういえばスピルバーグの最新作『宇宙戦争』でも、どの国の軍隊でも破壊できなかったえらく頑丈な宇宙人の飛行要塞を大阪でいくつかぶっ壊したというようなくだりがでてくる。うる覚えだけど、そのことを日本のメディアのインタビューで聞かれたスピルバーグが大阪は元気のある街だからといったことを答えていた気がするけど、元気がいい国や街は他にも沢山あるのだろう。それとも「オオサカ」は全世界の中でも「活気がいい」というような記号で語られる土地なのだろうか。


■ 作品作りっていうのはあまり偶然から生れものはないと思う。ほとんどが作り手の意図がはらむ。製作過程で何かを選択する場合、敢えて「日本」的なものを選ぶということに、作り手のなんらかの意図があるのではないか。単純に「ハラキリ・サムライ・フジヤマ」等々の「分かり易い記号」として日本を使っているというのもあるのだろうけど、それだけではない、もっと別のものもあるのではないか。それは例えばタルコフスキーが「惑星ソラリス」の近未来世界を表現するのに日本の首都高を使ったことに見られるような単なる記号から離れた部分としての日本ではないか。あれは日本という記号ではなく、首都高の持つ「運動性」を抽出した映像だった。で、そこまでくると日本ってことは重要ではなくなり、その「運動それ自体」が重要なものとして作り手に選択されるということになるのではないか。まぁ単なる表層の記号として「日本」を使ったとしてもそれはそれで全然ありなんだろうけど。少なくともタルコフスキーに関しては、表層の記号を使うために日本の映像や曲が使われたとは思えない。


■ とにかくちょいと肌寒い日が続く。そんな最中、やっと日焼けが落ち着いてきた。すくなくとも火傷ではなくなってきた。とにかくお腹がやばかった。腕や背中は大丈夫委だったのだけど、お腹はちょっと前まで真っ赤に腫れていた。で、そのせいでウエストがひとまわり大きくなっていた。やっとなんとか復活してきたのでほっとしている。復活してきたおかげで顔だけではなく、体中の皮がどんどんめくれていく。で、体中が痒い。痒くて深夜とかに目が覚める。寝不足ってほどじゃないけど、熟睡できないのは嫌だ。まぁ自業自得にもほどがあるのだけど。