東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『枯れ葉』

8時半過ぎ、目が覚める。ややだらだらしてしまう。朝食を食べてから、洗濯。それから、嫁と娘の部屋の掃除に取り掛かる。布団も干す。本棚なども水拭きなどをして、私見で不要と思われるものはできるだけ処分。それから、物置と化した二段ベッドの下の、娘の勉強スペース(だったところ)をできるだけ整理。諸々夢中で掃除をしていると、インターホンが鳴る。「雨降ってきてますよー」とお隣さんが教えてくれた。それにしても静かな雨で気が付かなかった。

まだ少し濡れたくらいで幸い。引き続き、掃除をする。どっと疲れて、身体も冷えたので、お風呂に入る。熱いお湯がじわっと手足に沁みる。

それから、渋谷へ。渋谷、にぎわってる。ものすごい人。ユーロスペースアキ・カウリスマキの新作「枯れ葉」を観る。相変わらずの色使い。そして、言葉数少ない役者たち。どんなシーンも、一気にカウリスマキ調になる。非常にシンプルな男女の恋愛模様。劇中で使用される歌謡曲で心情を示されるような感じもありつつ、映画ができることはこのくらいだろうと、極めてシンプルに、伝えてくれる。もちろん、その中に、ブルーワーカーの抱える貧困や、ウクライナ情勢など、今、2023年が刻まれているものの、電話番号を、手書きのメモで渡す、など、どこかしら、時間が止まっているような普遍的に思えるやりとりも。劇場にあったイラスト風の映画ポスターがとても良かった。

音楽と、酒と、煙草と、そして犬。さらに今回は映画も。ジャームッシュや、ブレッソン。とてつもなく良い作品を観た。幸福な気持ちになる。劇場を出ると、寒さが厳しくなっていた。

友人から、とある写真集を教えてもらう。日本全国の色街、飲み屋街、連れ込み宿などの建物を撮影したもの。東京でいえば吉原、滋賀や三重、広島や青森、果ては沖縄まで。そういった場所を撮影したもの。国の認可がおりた、いわゆる赤線と呼ばれる場所は限られていて、そういった場所にそれらの店が集まり、そのまわりには飲み屋なども連なる。良し悪しあれど、そこが、歓楽街として賑わい、何かしらのエネルギーの集まる土地になった。盛り場とはよく言ったもので、その「盛り」はいくつもの意味合いがある。

引き続き、石川県付近の震災の関連は痛ましい。そうかとおもうと、羽田で飛行機が燃えている。帰宅して、中平康監督「狂った果実」を観る。結婚しているものの、男との逢瀬を繰り返し、物語の中心となる、兄弟それぞれとも関係を持つ女性を演じる北原三枝。悪びれたところがあるわけでも無く、深みへとはまっていく。クライマックス、兄と女性をボートで追いかけてやってきた弟が、衝動的に二人を手にかけるが、その順番が、女性から、そのあとに、兄を、というのは、それが偶然かもしれないけれど、やはり血の意識があるのか、それとも、憎悪の順番なのか。