東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『でもやる』

■ 個人的にすごく好きな劇団『徒花』のホームページに主宰の方が日々思っていることを書いている「よもやま」というページがある。毎回楽しく拝見させて頂いているのだけど、3月28日の「でもやる、ということ。」というタイトルの文章はとてもよかった。

『いま、それをすることによって何にも前進し得なくても、
それでもやる、ということが、
明日という時間がどうしようもなくやってくる現実と交錯する。

どんなにひどい目に遭おうが、人はそれでも飯を食い、明日を迎える。
それでも、生きる。』

『でもやる』。強がりとは違って響いてくるこの短い言葉の持つ感じはなんなんだろう。でも、本当にそう思う。『でもやる』なんだ。このホームページに載っている写真がまたすごくいいんです。


■ それでこの日記を読んだらどうしてもアキ・カウリスマキ監督の『浮き雲』が観たくなってしまいレンタル屋さんで借りて観た。感情の表現をものすごく抑えた演技に、ほとんど動きのないカメラワークなのにすごく豊かな印象を受ける。そして映像の色合いに気を使っている。家の壁紙の色と主人公である妻の衣装の色を青で合わせておいて、赤いバラを夫が持ってくるシーンは赤がほのかに際立っているように感じる。他のシーンでもレストランの壁紙や衣装は結構はっきりとした色のものが使われていて、それがよかった。でも、なによりも「でもやる」という雰囲気がじわーっと沁みてくるような感じがいいんです。ラストの夫婦プラス飼い犬が並んで空を見上げるシーンはそれまでの重苦しくて下を向いてしまいがちな時間を経てるからこそ活きてくるシーンなんだと思う。ほんとにふわっと軽くしてくれる。「でもやる」いい言葉です。