東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『ハロースイス』

■ 今更って言っちゃあ今更なんだけど、チューリッヒのアルプスの少女ハイジのCMが面白い。最初に見たのは「食卓編」というやつだったのだけど、ハイジが「ハロースイス」と言いながら必要以上にはしゃいでるさまがすごく面白かった。「食卓編」を一度見たあと、テレビでは「草原編(15秒)バージョン」しか見ることができずわざわざホームページを探してしまった。するとテレビで見たことがなかった「草原編(30秒)バージョン」があり、これもまた面白かった。じいさんケアの意味を知らなかったよ。「ハロースイス」の声がさりげなくアルプスの山にこだましていたし。


■ ところで最近のハイジの活躍っぷりはなんなのだろうか。この前の「トリビアの泉」SPでも副音声でトリビアの紹介をする影ナレで登場していた。同じく影ナレで登場していたスネオの声でお馴染みの肝付健太が「アルプスのくせに生意気だぞ」とハイジに向かって言っていたのだけど、よくよく考えると不条理にもほどがある台詞だ。アルプスのどこが悪いんだ。しかし子供がいじめをする理由ってそんなもんか。ナンシー関さんと大月隆寛さんの対談集「地獄で仏」(文春文庫)の中で大月さんが子供のいじめについてこう語っている。

『いじめられる子には、お前もっと強くなったっていいんだぞ、って、これもちゃんと言ってやる。関係性の問題なんだからその中で一発根性みせろ、って話だよ。性格とか心理とか「個人」の問題だけに還元しようとするから、よけい話がおかしくなるんだと思うよ。』

子供のいじめについて的確に語った言葉だと思う。いじめられる原因なんてその個人にすべてあるわけではない。ただ、その集団の中ではそういう位置におかれてしまっただけだ。たとえアルプスに住んでいるというだけでいじめられたとしても、どう見たって外部から見れば不条理だけど、それでもいじめる側からすればそれはまっとうな理由なんだろう。問題はいじめられる側がそういった不条理な理由さえも自分の内側に抱え込んで苦しんでしまうこと。その時、その子供のそばにいる立場ならば、他者との関係性の中でその関係を改善していくように努めることを心がけるべきなのだろう。まぁハイジの話から大きく逸れた。


■ 観たDVD。

  アレクサンダー・ペイン  『サイドウェイ
  オタール・イオセリアーニ 『月曜日に乾杯!

  どちらもあえてロードムービーとしてくくってみるなら、『サイドウェイ』があくまで限られた登場人物の関係性の中だけで物語を完結させていることに対して『月曜日に乾杯!』はどんどん人物も世界もどんどん広がっていく点が大きく異なる。それは実際の舞台が移動した距離とは別の次元の世界のひろがりを指す。『月曜日に乾杯!』は登場人物も多いけど、それ以上に乗り物もたくさん出てくる。自転車、車、トラクター、電車、ゴンドラ、船そしてハングライダーまで出てくる。陸・海・空と映画の中の世界がどんどん広がっていく。そしてそれらの乗り物に乗る人物もそれぞれ別人。それだけで観ていてとても楽しい。イオセリアーニの作品をもって観られないだろうか。レンタル屋さんでもなかなか置いてない。