東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『無頼キッチン』

昼下がりの横浜スタジアム

■ 朝8時15分に町内にいきわたる様に黙祷を知らせる放送がスピーカーから流れてくる。1分間、じっと目を閉じる。日差しはもうまぶしかった。


■ 場合によると今日は仕事が入るかもしれないと職場の方に言われていたのだけど、昨日の夜に休みでいいと電話が来た。それでぽっかりと予定が空いて、ゆっくり休もうかとも思ったのだけど昨日の徒花の芝居が良かったので、芝居熱(?)が刺激されたから横浜に行くことにした。


■ 横浜に向かう間に本でも読もうとかばんの中を探ると本が何も入ってなかった。いつもは何かしら一冊はかばんの中に入れているのに、今日は忘れてしまった。電車に乗るときは大体本を読んでいる性質なので、すごく手持ち無沙汰。横浜までの1時間強、なんともそわそわしながら過ごした。余裕で間に合うだろうと思ってフラフラ出かけたら、ギャラリーに着いたのは開演の5分前。JR関内駅から横浜県民ホールは焦っている者には意外に遠い。まぁ気ままな散策とかには持って来いの距離なんだけど。


■ 横浜県民ホールギャラリーで上演されている『無頼キッチン BRAY KITCHEN』のリーディング公演を観劇。この戯曲は第五回かながわ戯曲賞の最優秀作品で、演出を宮沢章夫さんが手がけている。戯曲も面白かったけど、リーディングという形式を宮沢さんがどう演出するかに目がいく。


■ リーディングなだけに俳優は全員台本を手にしている。台詞をある程度覚えている人もいるだろうけど、目線はだいたい台本に向かう。つまり基本は目線が下向き。たまに台詞を発する役者を見つめるときもあるが、それが役者の生理によるものなのか、それとも演出による指示なのか。役者により読まれた台本のト書きから察すると実際の芝居ではけっこうしっかりしたキッチンが舞台上にあった方がいいらしいけど、リーディングなので舞台装置はテーブルと椅子だけ。役者の動きも場所移動以外の他の動作(例えばキッチンでとんかつを作る等)は言葉による説明だけではしょられる。かと思えば、名刺交換などはきちんと名刺を出して交換していた。必要最小限の動作だけを選んで演出をつけているように思えた。あと、台詞以外のト書きの読み方や、役者の配置の仕方にリーディングの演出の面白さがある気がした。リーディングにはリーディングの面白さがある。


■ 帰りの電車の中でも手持ち無沙汰になるのが嫌だったので、本屋で本を一冊購入。トルーマンカポーティ『冷血』(新潮文庫)。九月にカポーティの映画もあるし、流行なので。まだちょっとしか読んでないけど、これ、面白いや。ただ、帰りの電車はやけにエアコンが効いていたのでちょっと具合が悪くなった。


■ 夜8時ごろ、家の外から何か音が聞こえてきた。そういえば、帰りの道すがらやけに浴衣を着た人たちを見た。どこかで花火大会がやっているようだ。すっかり夏真っ盛り。