東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『小人の饗宴』

ヴェルナー・ヘルツォーク監督の『小人の饗宴』のDVDを観たのだけどこれが本当に面白かった。登場人物は小人。あとは鶏と豚とらくだのみ。それであらゆる存在が等しく平等に生きている世界を描いている。小人しか出演してない時点で、まずは明らかに手段が際立っているけど、作品が手段に負けてないのは、一切の説明を廃した潔さ、主観を感じさせない距離感によるものだと思う。この作品のすごいところは、そこだけに留まらずさらにもう一段階上のものがフィルムに焼きついていることだと思う。不謹慎を承知で書くけど、登場人物たちの振る舞いはめちゃくちゃ滑稽だ。小人が何頭も子供のいる母豚を殺し、盲目の小人をいじめ、女性の裸の写真を見てせせら笑う。仲間内でも争い、食べ物を放り投げ、車をぶち壊す。それを見て、駄目だと思いながらも笑えてしまうし、もっとやれとさえ思う。衝動を求める何かが人の心底にはあるのだと僕は思う。その衝動に従う心地よさがきっとあって、それは隠しても隠し切れない。それを『ないこと』にしようとする傲慢さをこの映画はあざ笑う。差別は必ず存在する、という前提からしか平等は描けないことを、この映画は示していると思う。



■ 今日の空日記。飛行機が飛んで雲に一筋の跡を残していた。

好きな歌の歌詞を抜粋
  『死んでいく人よ さようなら いつか会おう
   生きて恥をかき 生きて涙を流す
   青い空 涙の筋 ひこうきぐも』


■  茂木健一郎さんのブログに書かれていた言葉。こういう言葉に出会うと本当にうれしい気持ちになる。

   つまりさ、みんなが頭を
   暴走させて、それぞれの高みを目指しても、
   ネクラだと言われたり、
   平均値に引きずり下ろされたり
   しないで、
   晴れやかに笑っていられる。
   そんな時代が来るんじゃないかなあ。


    と、いうわけで茂木健一郎さんの特集が組まれた『BRUTUS』購入。