東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『素敵な歌と舟はゆく』

■ 4日(土)。友人のH君に誘われて屋形船に乗ることに。品川へ行く。東京湾へ続く河川沿いに古くからあるのだろう雰囲気のある家が並んでいる。品川は本来、こういう家が並ぶ海の町だったのだろう。向こうに見えるは品川駅前のビル群。残された街、変化する街。



どういうつながりか判らない集団が20名以上乗り込んで屋形船は動き出す。比較的早く進むもので、あっという間にお台場海浜公園前へ。そこでしばらく停泊するので、デッキへあがる。レインボーブリッジなど一望。カモメがちかくの海面に浮かんでいる。いい眺め。船内はさながら宴会場で、天ぷらが次々と出てくる。美味美味。昼から飲んで、腹も満腹。船はお台場から中央区隅田川のほうへ向かい、勝鬨橋付近で折り返し。2時間半の船の旅。海から見える東京のビル群。新鮮な視界。



■ 夜は、かげわたりの面々がうちにやってきて、先日(7月24日)に行なわれたライブの反省会をすることに。録画したライブ映像を見ながらいろいろ話し合っているのを傍観。時々ボーカルの家常さんが「キョー」とか「ウエー」とか声を発するのを谷川さんが「ここ、人の家だから」と注意していた。


そうそう、かげわたりといえばですね、2月に撮影を行った『東京ラララ』という曲のPVがですね、you tubeアップされておるのですよ。ストリーミングだけに画像が少しアレですがね、是非観ていただきたいわけです。六本木EDGEで撮影された演奏シーンや、これまでのライブ映像から切り取った演奏シーン、バンドメンバーや谷川さんたちが東京の街で撮影したシーンが繋がって完成した作品。かなりの力作だと思います。ご覧になって是非、さらにいい画質で観たい、というか、このPV欲しい、と思った方は、このPVも入っているかげわたりのCD『nijitomos』をお求めいただければと思います。詳細はこちらにありますので。宣伝でした。


■ 5日(日)。昼過ぎにハイバイという劇団の芝居を観に、五反田のアトリエヘリコプターという劇場へ。『朝からの家』の稽古の時にしばしば顔を出してくれたAさんから薦められた劇団。時間ができたので当日券で観にいく。役者が全員、出演していないときも舞台の隅に用意されているパイプ椅子で待機している。衣装チェンジもそこ。小道具も同様に客席から望める場所に置いてあり、本来ならばソデの客席からは見えない場所にあるはずの人やモノがすべて客席から見えることになっている。必然的に、役者の演技もすべて客席から見える状態で行なわれるのだけど、それが芝居における空間をこれまでとは異なる方法で立体的に活用できるようになっている。きちんと舞台装置を作った芝居で、舞台上にはいない役者、つまり袖にはけた役者が演技をすると、演技をしている身体が見えずその声だけが客席には伝わって、それが想像力を喚起させて、「見えない」という一つの演出方法になっていたのに対して、ハイバイのこの芝居では「見えている」ことが返って別の演出方法になっていて、それが僕には新しく思えた。それがハイバイが常に持っている演技スタイルなのか、今回の芝居だけのことなのかはよく判らないのだけど。


台詞の感じも興味深い。いわゆる口語劇なのだけど、先駆者である青年団チェルフィッチュの発し方とも異なっているようで、端的にいうと台詞が短い。あと、主宰で演出も担当していた方が演じる品川という役の演技はちょっと凄すぎて、なんというんだろう、あれ、演技というか、ほんとなのかなぁと思えて怖さすら感じた。いろいろ抱えていて、それを吐き出してるからこそ、ほんとに思えるのだろうし、怖いくらいの凄さがあるのだろうなぁ。あれは、すごいや。とても刺激を受ける芝居でした。