東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『写真と本文は関係ないが』

tokyomoon2008-04-09

■ 最近、携帯電話を持った母からしばしばメールがくる。昨日来たメールの文面は次のようだった。

『仕事の休み時間に連絡下さい。終わり。』

母としては、『連絡下さい。』だけでは文章としての終わり方の具合がよくなかったのだろう。それであえて『終わり。』を足したのではないか。母のメールに対する格闘の痕がうかがえて面白い。


■ この前の土曜に、池袋でやっているかげわたりの練習にひさびさに顔を出した。それで自主映画用に作ってくれた音源を演奏してもらった。これがすごくかっこよかった。元々のデモ音源は家常さんと鈴木くんがそれぞれ一人で作ってくれた。このデモがそれぞれとてもよかった。その良さの一つがデモゆえのシンプルさなのではないかと思った。で、バンドによってアレンジが加わることで、デモのシンプルさが損なわれてしまうのではないかということを僕は勝手に懸念していた。それ、まったくの杞憂だった。聞かせてもらったアレンジはなんというか、良い意味で、バンドっぽい音ではない。ギター、ベース、ドラム、それとキーボードが合わさって一つのメロディになるというよりは、ギターとベースとドラム、そしてキーボードのそれぞれの出す音が独立して存在しつつありながら、一つの『音』になっているというか。音のひとつひとつがゴツゴツしている、ような。それが、すごくいい。元々、僕がイメージしていた自主映画の音楽のイメージが、一つ一つ別々の単音がいくつも合わさって、何か新しい『音』になるという感じで、今回聞かせてもらったアレンジがすごくそれに近い印象を受けて、一人興奮してしまった。かげわたりは練習で演奏した音源をいつもレコーダーで記録しており、それをメンバーが後で聞けるように家常さんがメンバーだけが閲覧できるサイト上にアップしている。僕もそのアドレスを知っていて、音源を聞きたいときはそのサイトにアクセスするのだけど、今回、ネット上にアップされているその音源を聴くと演奏の終わりに、「かっこいい!」とでかい声で叫ぶ僕の声が入っていて、これは僕が音の切れ目で叫んだからなのか、家常さん、狙っていれたのかしらと思ったり思わなかったり。でも、ほんと、あのスタジオで、目の前であの音楽を聴いた時、僕は、かなり興奮してたんですよ、いやはや。


■ あと、最近刺激を受けたのは、ウェス・アンダーソン監督の『ダージリン急行』を観たことで、これもほんと面白かった。本編前に予告編代わりのショートムービーが上映される。そこに登場するナタリー・ポートマン演じる女性の服が、男の手によって脱がされると裸の身体に痣が見える。会話で一度この痣に触れるが、その仔細は明かされない。男とナタリー・ポートマンの関係も恋人同士であるという以上は明確にされず、だからこそ会話の節々から2人の関係を受け手が自由に発想できるようになっている。自由な発想を喚起されるような2人の関係性の作り方がすごく面白い。


■ 昨日までの雨で、桜はずいぶん散ってしまった。酒を飲みながらの花見はしなかったけど、ゆっくりと桜を見る機会は数回あった。それでヨシということで。