東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『予想外なクリスマス』

■人と会う約束があり、新宿の駅ビルの中をフラフラと歩いていたら、背後から声をかけられた。それで後ろを振り向くと確実に見覚えのある顔が。芝居の学校に行っていた頃の同級生だった(予想外1)。あまりにも唐突だったので、一瞬誰か判らず、久しぶりだわ偶然だわなのに僕の口から出た最初の言葉は「やあ」とずいぶんとリアクションの薄いものだった(予想外2)。人は唐突な事態に直面すると言葉が出ない。


自主映画に出てくれたKさんと11ヶ月ぶりぐらいに会う。連絡もせずにご無沙汰になってしまったのはこちらの怠慢。不義理のフォローに編集したDVDは事前に送っておいた。Kさんは、映像中の自分の声が小さいことを恐縮していたけれど、それは機材の問題も多い。もちろん声が小さくて聞き取れないと作品として成り立たたないのかもしれないけれど、そういうおとしたトーンの演技を御願いしたのは僕の方だし、声を大きくすることで作品全体の雰囲気が変わることもある。音声、映像って音声が大事なのだと今回ほんとに痛感した。


それから先日会った映画学校に通っているS君が合流。S君が来年撮影予定の短編映画に出演してくれる女優さんを探しており、それでKさんを紹介した。その顔合わせ。S君がKさんに「マツセさんにはいつもお世話になっておりまして」といきなり恐縮して話し出すので、こちらがうろたえる。Kさんもそういう風に言われて困るだろう、なにせ11ヶ月ぶりだし。


打ち合わせになると僕の出番は終了。作品の内容や、ロケ場所、今後の流れ等を話して順調に終わる。それからS君がおもむろに別の脚本をだす。Kさんのことを聞いたS君の映画学校の同級生が自分の作品にもKさんに出てもらえないかと相談してきたらしい。その作品にはカッパがでるという。そのカッパの彼女役を御願いしてきた。それを聞いたKさんは「カッパですか!出たい!」(予想外3)と即答。あまり人の作品のことを話すのもアレだけど、そのカッパは最終的に死ぬ運命なのだが、Kさんは「カッパって青色の血を噴き出しそう。その血を浴びるシーンって面白そう」(予想外4)と楽しそうにしゃべる。「わたし、ゾンビ映画とか好きなんです」(予想外5)。


というわけで、S君とKさんの件で、僕が出来ることは全て終了。あとは撮影の無事を祈りつつ、完成を楽しみに待つのみ。


Kさんと別れた後に、帰る道すがらS君といろいろしゃべる。S君はロイ・アンダーソンの『散歩する惑星』をDVDで購入して観たのだという。あれは面白い。どこで買ったのかと聞くと、S君がよく行くレンタル屋で中古品として販売していたのだとか(予想外6)。俺はamazonで購入したのだが、注文してから届くまでに一月程待たされた。それがレンタル屋で売っているとは。当然俺は定価(4,300円くらい)で購入。S君にいくらだったかをきくと「900円でしたよ。安かったす」(予想外7)。

そんなわけで予想外なことが色々あったクリスマスとなった。