東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『この国は沼だ、もしくはぬるい闇』

遠藤周作さんの『沈黙』において、キリスト教の教えが伝わりにくい日本という国の特性を「この国は沼だ」という言葉を用いて表現してありそれが印象に残った。土という言葉で表現される場合、少々硬質な印象があるのだけど、それが沼となると、同じく重心は低い位置にありながらも、途端にねっとりとした印象を受ける。この国独特の側面を的確に表現している様な気がする。沼は全てを飲み込んでも、それは決して消え去ることなく、地中深くに存在する。


それで、最近思っていることを改めてきちんと考えようと、中沢新一さんの『カイエ・ソバージュ』シリーズを読みなおすことにした。といってもかつて読んだのは1巻と2巻だけであり、記憶も曖昧なところもあるのでいっそ一からという次第。して、1巻。『人類最古の哲学』を手に取る。講義録なので、語り口がとても入り易い。で、やっぱり面白い。

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NTTから携帯電話のオプションに関する請求書がきた。諸々の契約をした時に、無料お試しとしてなんとなく登録されて、数年経つと有料に変わる巧みなシステムを駆使したオプションであり、当然、今までもそしてこれからもぜっっっっっったいに利用しない機能なので、即座に解除したのだけど、支払いを免れなかった数日分に関してだけ、日割り計算で請求がきた。が。



4円だよ。コンビニで払えというのか、これを。消費税5円のこの時代、普通の買い物であれば不可能な支払い額でねえか。


誰のか忘れたけど、1円を落として、「あ、落としちゃった」と思い、その1円を拾おうとした場合、そこには明らかに1円以上の労力がかかっているというエッセイがあった。4円のために、請求書を作成し、その書類を郵送し、俺がそれを受取り、コンビニに向かい、その額を支払い、コンビニがそれを受けて、請求書の処理をし、ふたたびNTTに送り返す。それで発生する額、4円。なにかぬるい闇があるぜよ、そこに。