東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『訃報と祭り』

若松孝二監督が亡くなった。それほど多くの作品を観ているわけではないけれど、その動向が気になる監督のお一人だった。事故死というのがまたどうにもやるせない気にさせる。ここ最近、いろいろな場所で突然人が亡くなってしまう話を聞く事が多く、それを語る方々の戸惑いというか、突如として大きく重要な何かを喪失しまったことで生じる、ある種のぼんやりとしてしまう感じを目の当たりにすることがあり、人はとてつもなく大切なモノを喪失すると、むしろぼんやりとしてしまうものなのだなぁと思ったりしていた。いない事が不自然すぎて現実に思えないというか。


事故死。あまりに突然の死。遺作となるのが、中上健次さんが書かれた「千年の愉楽」であることも何か印象深く思えてくる。若松孝二さんと中上健次さん。どこか似ている。なんとなく、読みかけだった中上健次さんのエッセイ『スパニッシュキャラバンを探して』を手に取ってみる。


今日は近所の鬼子母神を拠点とした、御会式の最終日だった。雨が降ったのは残念だったけど、なんとか仕事を早く終わらせて家族で万灯行列を見る事が出来た。音楽を鳴らし、万灯を揺らす。僕は、特に宗教的な意義を持って祭りを見ているわけではないんだけど、それでもやはり胸躍る気持ちになる。身体が自然と動く。御会式が終わると、今年の祭りも終わる。