東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『選考についてぼんやり考える』

咳が落ち着いたと思ったら、夜になるとでるわでるわ。


今日は、ゆっくりとした出社だったので、娘子と嫁氏と少しデパートをフラフラして昼食を一緒にとる。娘子は元気に大きな声で話す話す。僕らだけの会話であればいいのだけど、例えば
「友達が笑ってるよー!」
「赤い椅子に座っているねー!」
などと視界に入る、他のお客さんのことまでも全てを大声で話すので、たまに困るよ、父さんは。まぁ、ひっくるめて楽しいのだけど。


少しばかりちらついていた雪は、ちらついただけですぐにやんでしまった。


岸田戯曲賞の選考が終わり、その選考過程は知るには、今後公式に発表される選評を待つべきだろうけれど、それを読んでみたところで実際のところは判らない。選ばれた選者による話し合いの、その手触りは、その場にいた人たちにしか判らない。選者のツイッターのうち、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんのつぶやきが、個人的には今回の選考の総評のヒントになるような気がしている


昨日の岸田賞の選考会、俺は終盤、「二本同時受賞」か「該当作品なし」のどちらかでは、との態度をと ることになった。というのも、そこには「岸田戯曲賞は作品賞であると同時に、作家賞でもあると捉えるべき」という故・井上ひさし氏の意志が働いたからなのだ(後略)


かつて、前田司郎さんが何度も最終候補に残っては選考から外れて、ずいぶんと時が経ってから受賞をされたことがあった。それもタイミングなのだと思うけれど、今回もそれに似ている状況のような気がする。受賞されたお二人のうち、僕は岩井秀人さんの作品しか触れたことがない。ただ、岩井さんが主宰をされている『ハイバイ』はもうずいぶん前から知っているし、発表される作品はどれも本当に面白かった。演出家としても、脚本家としても、役者としてもすでに高い評価を受けている。もう1人の受賞者の赤堀さんも、すでに演出家、脚本家、そして役者としても高い評価を受けている方だ。勝手な憶測だけど、おそらくお二人に関しては、今回受賞された作品はすでに成熟されたお二人にとっては、特筆して優れた作品というわけではないと思う。もちろん、それは憶測。そもそも、ボク自身、お二人の受賞作を読んでいないのでなんとも言えない。あくまでも想像。


やはりもっと読むべきだ。もっと開拓するべきだなと思う。恥ずかしい話、今回の最終候補作に挙がった脚本家のうち、ボクは受賞された岩井さんしか知らないし、赤堀さんは役者としての存在しか知らない。映画「その夜の侍」は観たいと思っていて見過ごしたし。最終候補に残った方のうち、お一人は以前、一度だけ芝居を観たことがある。ただ、その時僕はそれを面白いとは思えなかった。その後、僕はその方の舞台は特に興味が無く、観てなかったが、すごい勢いで集客を伸ばし、あれよあれよと言う間に大きな劇場で上演していったけど。個人的には興味がなかった。最近の作品は、観てないので僕が何かいうことは特にないのだけど、今回の岸田賞選者に入っている岡田利規さんが自身のツイッターで、その方の作品について語るつぶやきを読むと、かつて僕が観た作品で感じた作風と、劇団全体から受けた印象と、およそ変化はないのではないかと思われた。取り扱われる題材が、単なるネタになっているような。もちろん、本人たちはそんな風に思ってはいないだろうし、かつて観た舞台も、役者本人たちは切実に演じていたように思う。ただ、それでも僕には彼らの切実さを肯定できなかった。自身の感情の吐露のために演劇はあるわけではないと思う。否定的な言い方ではなく、自戒の言として書くのだけど。


長々と書いたけど、ここ最近、改めていろいろ思う。考える。