東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『健康診断』

tokyomoon2015-03-19

月曜は雨だったけど、火曜は暖かかった。仕事で町を歩いていると散歩気分になるけれど、少々汗ばむくらい。水曜は夕方から雨の予報だったので傘を持って出かけたけど、周りは誰も傘を持っていなかった。


そして、木曜。朝から健康診断を受けに、新宿の検診プラザという場所へでかける。そこで健康診断を受ける。身長〜体重〜血圧〜採決〜聴音などいろいろとやってもらうのだけど、各箇所で検査をしてくれる方がおり、必ず「お名前はマツセケンスケさんですね?」と聞かれてから、検査をされ、「では、次へ」と指示を受け、次の場所へ向かい、なんというか実に機械的に進行していく。ベルトコンベアに乗せられているかのごとく次から次へと回されて、なんだかよくわからない気持ちになっていく。最後にバリウムを飲み、本当にグルグルと回されて終了。診断結果もすぐ出たので聞かされた。どこもA判定で問題ないかと思ったら、便に血が混じっていたようで大腸検査をしなさいと言われた。そういうところでひっかかるのか。それで、検査を受けるにあたって的な説明を受けたのだけど、なんだか聞いているうちに非常に億劫になってきた。バリウムのせいでお腹が膨れて気分がすぐれないことと、前日の夜からあまりモノを食べてない空腹で思考力も落ちていたからだと思う。もう一度、予約をしてから1日がかりの検査を受けてくれといわれたけど、なんというか、非常に億劫。検査するのかな。これは、なんだか行かない予感がする。



それはさておき。北田暁大さんの『広告都市東京 その生誕と死』が本当に面白かった。前半は映画『トゥルーマンショー』を題材に80年代の渋谷や、ポスト80年代の都市と広告の移り変わりを書いてあり、後半、というか文庫版で追加されたところは映画『クレヨンしんちゃん モーレツ 嵐を呼ぶオトナ帝国の逆襲』を題材に、世間を賑わせた昭和30年代ブームについて、大阪万博なども取り入れて書かれてあった。昭和30年代ブームというものが、忠実にその年代を再現したものではなく、『現代の我々がイメージする昭和30年代の再現』であることを指摘する。そして大阪万博がそれ以前の万博が持っていた文化産業的な意義ではなく、祭りのための祭りとして舵を取ったことを書き、それ以後の万博と呼ばれるものは文化的な大義名分はありつつも、基本は『祭り』であることを言及する。それを享受する受け手はそうであることを知りつつ、万博を『祭り』として愉しんでいたということは、結局、閉じた空間の中で楽しんでいることでしかない。開園35年も経ったディズニーランドを謳歌することが今でも変わりなく行われ(先日出掛けた時、アトラクション以外にポップコーンなどにも行列が並ぶことに、何かさらに過剰に『祭り』を楽しもうとする印象を受けた)、さらにはハローウィンやクリスマス、大晦日など何かイベント行事ごとに極端に騒ぐ、刹那的な享楽をもどこか似ている。けれどそれを単に否定するではない。それも楽しみつつさらに別の視点に立つことを本では語っていた。そして映画『オトナ帝国の逆襲』を題材とした、しんのすけの父ひろしの立ち位置について。

しんのすけは、過去の記憶をもとに長期的利害を考慮する「時間的に不偏的な視点」を持たない動物、果てなき現在を生きる動物である。(中略)。一方のケンは、過去の意味論を元手に、現在の変革をめざす「思想家」である。動物と「思想家」の狭間で、ひろしは夢から覚めることをなかば強制的に決断させられる。そのひろしの痛ましい立場に大人たちがたつこと、つまり目覚めの一瞬の悲しみを社会的な水準において引き受けることにおいてのみ、社会は次世代へと接続されうる。現在における動物的現実(しんのすけ)と現在の思想(ケン)の闘争において、ひろしは勝者とはなりえない。


革命家にもなれず、戦いの勝者にも敗者にもなれない彼らの立ち位置から、これからの世界をどう生きるかを考える。アニメの中では、時間が止まっているとはいえ、幼稚園に通うしんのすけの父親と母親の年齢はおそらく30代後半から40代前半と思われる。つまりそれは僕の世代と重なる。勝者にも敗者にもなりえないひろしの立場にいる僕もまた目覚めの一瞬の悲しみを引き受けなければならない、はず。


夕方に一本、とある映画の試写を拝見。重たいテーマを扱った題材。夏に撮影された作品で、ロケが多く、同録でとった台詞を使用している音声の処理がいろいろと大変だったとおぼしき状態だった。撮影は夏だけど、いくつかのシーンで3月頃の設定があり、台詞に重なる蝉の声などをなんとか消そうとしている部分の格闘の後が少しわかるような状態だった。難しいもんだなぁと。アフレコってわけにもいかないのかなぁと思いつつも、それはきっとスケジュールの都合等あるのだろうな、などと思いつつ。


それにしてもなんだか今日はバリウムのせいか、大腸の検査をせよなんて言われたせいか、やけに疲れた。フラフラと帰宅。まだ少しお腹が張っている。