東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『エッセイいろいろ』

tokyomoon2015-03-21

副都心線東横線と直通していて、副都心線内は各駅停車だけど、東横線内は快速運転という電車が走っている。これに乗ると渋谷の隣の代官山駅はスルーされてしまうので、いつもの通勤時間はそれを避けるのだけど、たまにいつもと違う時間に電車に乗ろうとするとわからなくなる。今朝、微妙にいつもと違う時間に電車に乗り、『各駅停車』の表示に安心して乗ったところ東横線内は快速であることに渋谷を出たあとに気づき、テンションが下がる。分かりづらいよ。


先日の健康診断を受けた病院の待合室で、本棚に置いてある週刊文春を手に取った。読むのは小林信彦さんのエッセイ。3/11前後のエッセイは空襲などについての文章が多い。


それと宮藤官九郎さんのエッセイを読んだ。六本木歌舞伎に携わっていたころの文章を読むと、歌舞伎には演出家がおらず、稽古場で役者同士でディスカッションをしていろいろぶつけ合いかながら芝居を作っていくという内容が書かれてあり、それがかつての『大人計画』の稽古場のようで、「歌舞伎は最古の劇団なんだなぁ」と書いていることが印象に残った。


そんな中、毎週楽しみにしているテレビ東京の『山田孝之東京都北区赤羽』第11話は、山田さんが赤羽の方々とお芝居を作るエピソードで、お芝居の稽古の経過をカメラが追っていくのだけど、稽古に参加している赤羽在住の一般の女性が、繰り返される稽古に集中力を切らせて、どうして稽古では何回も同じことをやるのかと不満を言うシーンがあった。このドラマの進行役で、その稽古場でも演出助手のように稽古を引っ張っていく役目の山下敦弘監督がその女性に丁寧に対応していく。「同じことばかりでバカみたいじゃない」と女性が言うと(もちろん、悪気はないのだろうけど)、山下監督は「バカみたいなもんなんだよ」と応えた。


そこにあるのは、その場限りのものではあるけれも、劇団の形をした集団で、そこで一つの話を作り形にしていく過程は、諸々地味でしんどい作業。多くの人が集まればそれぞれに考えることは違う。だからすれ違いが生じる。山下さんの言葉には、自分を蔑むトーンではなかった。自分たちの行っている行為の、ある意味では『正しい見解』として、バカみたいなものなんだよ、と肯定しているけれど、それはとても正しい見方だと思う。それでも、その『バカみたい』の中からでないと生まれないものがあって、だからこそ、劇団があるのだろうし、もしかしたら歌舞伎もその形態で何百年も芝居を作っているのかもしれない。


それとは別に、ネットにあがっていた劇作家前田司郎さんのコラムの抜粋画像。まぁ、こういうことは本当は良くないのだろうけれど、これをあげている方がいたから僕はこのコラムを見れた。


隣人と関わること。隣人を他人と認めた上でそれでも許容しあう関係。そうでありたいと思う。