東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『8月が終わる』

8月の終わりはすっきりしない天気の日が続いていた。雲が多く、いきなり雨が降ったり、それでいて蒸し暑い。そういう天気だといろいろ疲れも出てくる。

 

確かラジオだったような、そこで紹介されていた窪美澄さんの『よるのふくらみ』という小説が少し気になり読んだ。短編のようでありながら一つの物語として成立している作品。主要キャスト3名のそれぞれの視線で短編が描かれて、物語が進行していく。止められない衝動のようなものを抱える主要キャストたちの葛藤を描く小説。自分の性分が、親から受け継がれる遺伝の中に刻まれているのではないかと葛藤する描写は、どこかスリリングだ。確かにそれはわからないし、忌むべきものであるならば、何かに理由を求めたくなる。

 

仕事のご縁で、劇団た組さんの舞台『今日もわからないうちに』を拝見する。とてもテンポよくリズム感のある台詞が飛び交う。舞台はシンプルで、いくつかの家具が配置されているけれど、冷蔵庫がソファ代わりになっていたり、洗濯機が台所になっていたりとどこか不思議な歪みがある。正式名称はなんていうんだっけ、通称人形と呼ばれる木製のパネル立てを使用して、舞台空間を区切っていく設定など、舞台の使い方も興味深い。ある意味で役者の使い方がとても贅沢であると感じる。というのも、出番が極端に少ない役者の方々が多い。とかく、舞台の場合、どうしても役者の一人一人に見せ場を作ろうと気にして物語が作られるケースが多いが、徹底的に主軸となる家族3名+祖父にだけ焦点があたる作品で、その他の登場人物はワンポイントに徹する。家族に関する記憶だけが、家を出ると失われていく母親の存在によって、バラバラだった父や娘との関係性が新たに作られていき、最後は思いもよらぬ展開になる。物語は、ある種の不条理というものなのかもしれないけど、それを「どう」表現するか、という点で、これまで観てきた作品とはまた少し異なる刺激を受ける。勉強になるなぁと思う。

 

いろいろな部分で、それぞれの考え方があり、コミュニケーションがうまく取れないことがある。そういったときに、僕自身もどうしてもイライラしてしまい、感情をぶつけてしまうこともある。我慢、我慢か、うーん、すべきだろうし、しなければならないことは多々ある。そこはいろいろ難しい。仕事終わりに、職場の同僚と夜ご飯を食べに、ラーメン屋へ行き、ビールを飲みながら少しばかり、自分の気持ちを吐露したり。絵にかいたようなサラリーマンの発散の仕方だなぁと思う。

 そんなこんなで8月が終わる。

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