東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『ときとき、はじめる』

週末。土曜、娘に急かされて、ガレージで行う古本屋の準備を行うことに。もともと、家のガレージで古本屋をやりたいということは、嫁さんや娘にもずっと言っていて、とはいえ、忙しくて何も手つかずにいた。どういうきっかけなのか、土日は休みと娘に言うと、「古本屋の準備をする」と強めに言われ、押されるように準備を始める。大塚の100円ショップで本棚になりそうな簀子や板、そして、コルクボードなどを購入し、トンカチで諸々組み立てる。それから売る本を本棚から選ぶ。売ってしまうには後ろ髪ひかれる本もあったけれど、本のレパートリーを充実させる必要もあり、諸々セレクト。娘は娘で自分の絵本を売る、というので、いくつか選んでいた。土曜は準備で終わり、お店を開けるのは日曜にすることに。天気予報だと雨が降るという予報だったので、どうなるか気にしつつ、就寝。

朝、目覚めると、風は強いものの晴れたので、コルクボードに看板になるようなものをいろいろ準備して、10時過ぎにオープン。娘は、最初「緊張する」と言いつつ、そわそわしていた。が、当たり前だけど、そんなにすぐに人が来るわけもなく、すぐに娘は人が来ないことで退屈しだし、バドミントンを始めたり、自転車で近所へ散歩に出かけたりし始める。僕は売る本を選ぶときに久しぶりに見つけた阿部和重さんの本を読みつつ、娘と遊んだりしつつ、店番をする。お店の前を通り過ぎる人が、ちらちらと置かれている本を見ることはあっても、止まってくれる人はいなかった。まぁ、最初はそういうものだろうと、割り切りつつ、のんびり過ごす。それで、こういうゆっくり過ぎていく時間が楽しいなぁと思う。

昼ごはんを食べてから、改めてガレージで店番をすると、男性が一人、本の前で止まってくれて、少し物色してから、手塚治虫さんの漫画を一冊購入してくれた。何やら古物商の資格を持っている方らしく、やけに気さくに話しかけてくれて、僕が「特に許可もとらずにやっているので怒られるかもしれないです」というと、販売するために本を仕入て、それを売るときちんと認可が必要らしいのだけど、あくまで自分が購入したものを売るのはフリマ的な販売で大丈夫らしい、と教えてくれた。あまり詳しくないので、鵜のみにすることに。なんにしても初めて売れたことを、娘と二人で喜んだ。

その後、しばらくしてから、男性のお客さんがゆっくりと本を見て、いろいろ考えつつ、2冊購入してくれて、そういう感じもうれしかった。どれにしようか迷ってくれる感じがうれしい。それで、買ってくれた後に、ちょっと話をすると「お芝居が好きなんですね」と言ってくれて、「置いてる本で趣味がわかりますね」と感想をくれた。そういう風に言ってくれるのがうれしい。その人は、お茶の水から歩いて散歩している途中だったらしく、お茶の水村上春樹さんに似た人を目撃したと教えてくれた。どうやら村上春樹さんはプロ野球のヤクルトファンらしく、そのヤクルトのTシャツを着ていたので、間違いないと思う、と教えてくれた。いろいろな人がいる。他にも少し目に留めてくれた後に、「良いラインナップだなぁ」と独り言のように呟いてくれた人もいれ、そういうのも嬉しかった。

あと、近所の娘の友達の夫婦が差し入れをくれたり、近所に住む家常さんも遊びに来てくれて久しぶりに話もできた。夕方には、小さな子供を連れた女性が娘の絵本を3冊買ってくれて、娘もすごくうれしそうだった。

結果的に合計で6冊、買ってもらえた。まぁ、数とかそういうものではないし、あくまでも売れるかどうかは副次的なことで、本を読みつつ、人の流れをみていたり、ぼんやりするのは楽しかった。また、気が向いたらお店を開けようと思う。あ、古本屋の名前は「ときとき」という。思い付きで、ときどき開けるという意味で、「ときとき」と名付けた。

今日は良い天気だった。風は吹いていたけど、愉しい日曜だった。