東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『福島モノローグ』

久しぶりに休みの土曜。そこそこ寝坊をする。今日はゆっくりしようと思い立つ。掃除機をかける。それと水拭きなども。掃除は息抜きになる。朝昼兼用のご飯を食べて、ごろっとする。

が、家でゴロゴロしているのもなんか勿体ない気がして、外にでかけようと思い、家人たちに「ちょっと散歩に行ってくる」と言ってみるも、ついてくる気配はなし。まぁ、そこはそれで良いかと、1人出かける。どこへ行くかいろいろ思案。電車に乗ってもよかったのだけど、そこまででもないかと思い、目白台の方へでかける。少し広めの芝生のある公園は開放されていた。なので、家族連れが多い。少し賑やかな場所から離れてみようと歩くと、普段は球技をするグラウンドも開放されていた。混雑緩和のために開放されているようで、そこにシートを敷いて、本を読む。いとうせいこうさんの『福島モノローグ』。3・11で被災したり、原発事故の被害に遭い、避難を強いられた人たちなどの、それぞれのインタビューが独白の形で書かれている。否応なく放射能と向き合わなければならなくなった人たちが、逃げることなく向き合う。一時的に福島を離れて避難をしていた人たちの中にはやがては福島に戻ってくる人たちもいる。絶望ばかりもしてられない。自分たちの出来る生き方をするしかない。

ゴロゴロしながら本を読んでいると、公園を管理している方がやってきて敷物は禁止ですと、申し訳なさそうに言ってきた。傍にあったベンチに移動して本を読む。と、おそらく結婚式終わりだと思われる男性の集団がやってきて、缶ビール一本ずつ飲みながら談笑を始めた。まぁ、本当は飲酒は禁止なのだろうが、そこで目くじらを立ててもという気もする。

「いいとこだなぁ、東京もこういうところあるんだ」

とそのうちの誰かが言っていた。

『福島モノローグ』を読み終えてから、ちかくの関口教会東京カテドラルへ行く。特に信仰があるわけではないけれど、ここが好きだ。中に入り、椅子に座りじっとする。前方にある巨大な十字架。それに祈りをささげている人もいるけれど、僕はそこまで詳しくないので、神社やお寺に行くときのように、自分にできるお祈りをした後は、ただずっと座っている。夕方5時近くなって教会の人が、消毒剤を持ちつつ、一つ一つ椅子を拭き始める。消毒剤を吹き付けるときのしゅっという音と、サッサッという雑巾の音が聞こえてくる。

家に帰り、まだなんとなく本を読み足りない気がして、適当に本棚を物色。竹中直人さんが「東京日和」を撮影したときにインタビューと、脚本家岩松了さんが書いたシナリオが載っている単行本を読む。竹中さんの映画へのこだわりを随所に感じる。あと、撮影スケジュールがそのまんま掲載されていて、少し新鮮な気持ちでそれをみる。そこまで大きな規模の作品ではないと思ったけれど、撮影期間は1か月半ほどある。シナリオを読んで、こんな場面あったっけ?という部分を久しぶりに「東京日和」を見返したくなったけれど、そんな簡単に観れるものでもない。で、Spotify大貫妙子さんと坂本龍一さんの作ったサントラを聴く。良い曲だなぁと思う。

夜はイーストウッドの『運び屋』をブルーレイで。クリントイーストウッドすげえなぁ。監督もして主演もするとは。だけど、この作品に関しては、他に適役いないな。90歳の運び屋でバイタリティのあるじいさんなんてなかなかいない。

それでも、まだ夜12時台。とても時間がある気がする。なんだか得した気持ちになる一日。