東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『一つ手前の駅で降りて』

午前中、池袋で少し仕事があり歩いて出かける。陽射しが強く暖かい。池袋は驚くくらいに人がいた。考えてみると土曜日だった。その後、職場へ行くため、また歩く。晴れて気持ちいいとそのまま散歩をしたくなる。

仕事を終えて、本屋へ。黒田硫黄さんの新作が読めるということで、「もしも、東京」という本を探す。そこそこ良い値段。そして、それ以上に想像を超えたサイズ感と重さ。よく見ると松尾スズキさんや、松本大洋さんも寄稿者として名前がある。すわ、購入。

それから、ふと焼き魚が食べたくなり、恵比寿駅付近で焼き魚が食べれる店を探す。駅前にあったカウンターだけの食堂が魚を置いてあり、そこでぶりのかま定食を食べる。べらぼうにうまい。

恵比寿から日比谷線に乗る。実家へ戻る。先日、行った際、母の調子が良くない感じだったので、やはりもう少し頻度を上げて行きたいと思った。電話をして今日、行く旨を母に伝えたが、母は最初、「来なくていい」と言ってくる。やんわりとこちらの意見を伝えて説得させる。渋谷から半蔵門線に乗ると準急運転もあるので便利で早い。日比谷線はずっと各駅停車なのだけど、今日は本屋に寄ったので恵比寿から。本を読みたかったけど、「もしも、東京」が電車で読むにはでかすぎるサイズだったので、ぐっと我慢。そんなことをしていたらいつの間にか眠っていた。

目が覚めると、すっかり人が少ない車内。なんとなく物寂しい気持ちになる。あと数駅で地元の最寄り駅というところで、若いカップルが乗ってくる。「さいたまは住みやすいよね」という話をしている。通勤快速みたいな電車を待つため、駅で停まっている間、カップルは楽しそうに話をしていた。どうせ各駅停車に乗っているので、滅多に停まらないし、

なんとなく、普段降りている地元の駅の、一つ手前の駅で降りてみようと思い、下車。以前は、古い駅舎だった記憶なのだけど、高架の新しい改札口になっていた。改札を出ると、のどかな風景。コンビニと、少しばかりの地元の食堂や居酒屋。やけに外国の方を見かける。こういうところも多国籍化の波がきているのか。

滅多に来ない駅なので、帰り道が売る覚え。ようやく目印になる国道まで出てくる。そこまで来ると、子供のころに通っていた小学校の通学路と同じ道にでるので、あとはそこを歩けばいい。子供のころから何度も行った、和食のファミレスがある。他愛も無いチェーン店だけど、少しばかり値段が高い。だから、そこに行くのは実家にいたときもどこか特別だった。ただ、子供の僕はどうせならハンバーグとか肉を食べたかったので、そこに行くのはそこまで嬉しさを感じなかった。小学校へ行く道は、以前はほとんど田んぼだったけれど、今は立派な住宅が建っている。風景はどんどん変わっていくけれど、その中で、変わらない風景もある。今になっても何を作っているのかわからない工場。学校帰りに寄り道して遊んだ木のある敷地。謎の地元のコンビニがあって、つぶれてしまった跡地。それはそれで懐かしい。だらだらと歩く。21時を過ぎる。塾に行っていたのだろうか、制服姿の学生が自転車で帰っている。

つまり、母が眠っている時間に帰りたかった。心配ではあるけれど、夜に辛そうな母を見るのがしんどい気持ちもあった。

家に帰ると、すでに真っ暗で、母は眠っていた。リビングに、この前来た時の僕の洋服が洗ってたたまれていた。静かに自室へ。明日はゆっくり母と話をしようと思う。筋トレをして、それからのんびりとする。