東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『ゆっくりした日曜』

朝、洗濯機を回し、掃除機をかける。天気予報だと晴れるという予報なので、洗濯物をベランダに干す。

NHKのラジオで、過去の放送を取り上げて紹介する番組があり、生前の宮沢章夫さんがパーソナリティを務めていた「すっぴん」の一部を紹介していたので聴く。「僕は行き当たりばったりの性格なので」とラジオの仕事をバイト、と言い切り、笑いを誘う。冗談をサラッと言う語り口は穏やかで、聴いていて心地良い。そうかと思えば、劇場に関する文化的な背景を語るコーナーでは、かつて神に捧げるためにあった演劇が、やがて市井の人を題材にし、広く一般の人たちが表現するために拡がっていた歴史を語る言葉は、ラジオの一つのコーナーで語られる以上の価値がある。どういった劇場がいい劇場か、という問いに対して、その空間をいかようにも使用できて、客席も自由に作れる空間が良い劇場ではないか、そういう場で、若い人たちが創作することに期待している、というようなことをおっしゃっていた。アンカーとしてご一緒にラジオパーソナリティーを務めた藤井アナの最後の言葉を「今年もスワローズがリーグ優勝しましたよ」と宮沢章夫さんに贈るに相応しい言葉だった。少しばかりメール作業をしてると、明るい日差しが入ってくる。久しぶりに太陽を見た気がする。

それで半袖で、新宿御苑へ向かう。晴れた日曜だからか、かなりの人出。こういう時、年間パスポートは素晴らしい。チケット売り場の行列を通り越し、悠々と入園。ふと見ると、パスポートの期限が10月末で切れる。コロナ禍で延長していた有効期限もいよいよ終わり。

文學界』に『秋人の不在』というタイトルで掲載されている宮沢章夫さんの小説を久しぶりに読み返す。僕がおそらく1番最初に舞台で観劇した宮沢章夫さんの作品で、だからこそ1番、好きな作品。陽射しが出てると暖かく、うとうとしながらゴロゴロと本を読む。

と、いつのまにか、大きな雲が太陽を隠してしまい、それで少し肌寒くなる。16時半で閉園のアナウンス。冬モードの営業時間。

御苑を出てから、ふと思い立ち、隣にある四谷図書館へ。静かな館内で、なんとなく本を物色。写真家の初沢亜利さんの「東京、コロナ禍」という写真集が目に留まり、それを観る。はじめての緊急事態宣言が出た東京の街の風景を撮った写真たち。営業の自粛を強いられた飲食店や、今ではびっくりするような価格で、どこから仕入れたか謎のマスクを平気で販売する露天商の人たち。写真を観ると、コロナから始まったとてつもない違和感の日々と、緊急事態宣言により人がいなくなった街の風景に、少しばかり、不謹慎な、何かとんでもないことが起こっているような高揚感、そこからいつまでこの状態が続くのかわからないマスクで隔たせられた息苦しさを思い出す。

閉館した後、地元へ戻り、鬼子母神へ。3年ぶりに御会式が行われる。その初日。境内は屋台がたくさん出ており、人出も多い。祭りの賑わい。万灯が行進してくる。太鼓のリズムが心地良く、胸に響いてくる。それから久しぶりに近所の古本屋へ。いろいろ目移りしてしまうが、買い込んでも読み切れないので、我慢。

それから帰宅して、ぼんやり。少しだけ筋トレしつつ、TVerキングオブコントを観る。個人的には「ニッポンの社長」のネタが好きだった。