東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『近所の猫/アフターヤン』

仕事が諸々忙しい日々が続いたので、本当は出勤の土曜だったけれど、振休にさせてもらった。それで、というわけではないけれど、久しぶりにずいぶん、朝寝坊してしまい、目が覚めたら、10時過ぎていた。

朝ごはんを食べて、掃除をしたり。嫁さんの実家から柿が届いた。まだ時期が早いのか、少し置いてから食べるようにと指示書があり、たくさんの柿が台所のテーブルの上にひろげられていた。

少し仕事をしてから、外へ。玄関を開けると、猫のみぞれとすごく恰好が似た猫が外を歩いていた。目を疑った。近所に住む方が、猫を散歩させていた。みぞれと同じ、チンチラシルバーで、毛並みも似ていた。顔はさすがにちょっと違うものの、やや警戒しながらちょこちょこ歩く姿は、家から脱走したときのみぞれとそっくりだった。3歳になるという。みぞれが亡くなったこのタイミングで、まさかご近所で同じ種類の猫が飼われていることをしるなんて。

少し話しをしたところ、「先日、娘さんにも『みーだー!』って言われました」と教えてくれた。勝手な言い方をすれば、これもめぐりあわせなのかもしれない。

それから、新宿御苑へ。とても快晴で気持ちがよく、陽が出ていると半袖でも十分。10月末で年間パスポートが切れていたので、更新手続きをする。証明写真というやつはどうも不機嫌な顔をしてしまう。ともかく、これでまた1年、お世話になる。晴れた土曜だからだろうが、やたらと人がいる。冬の芝になりつつあり、緑から褪せた色に変わってきている。敷物をしいて、ゴロゴロとして、読みかけていた石原慎太郎さんの『太陽の季節』を読む。少しウトウトする。閉園時間の16時半頃になると、陽が沈みさすがに半袖では肌寒くなってきた。

公園を歩いていると、結構年配の50代くらいの女性が「闇金ウシジマくんを全巻読破したのよ」と笑顔で話をされていた。

まだ、時間もあったので、地下鉄で銀座方面へ。丸ノ内線に乗る。これまでも何度も乗っていたけれど、霞が関駅の次が銀座駅であることに改めて気付く。隣駅なのか。銀座なんて通り過ぎるだけで、店なんかはほとんどいかないけれど、そういった仕事の方は、仕事終わりにそりゃあ、銀座に行くなと思う。まぁ、そういった人たちは電車ではなく、車で移動するのだろうが。

コゴナダ監督『アフター・ヤン』を日比谷シャンテで。久しぶりに日比谷にきたのは、都内でもそこでしか上映されてなかったから。

近未来の物語の中で、突然、画面サイズが4:3に変り、登場人物の正面の画でカットバックがはじまる。急に小津監督の対話のような画になり、なんでかとおもうと、後からそれが、テレビ電話による会話だったと気が付く。小津作品のオマージュだけれども、普通にこのカットバックが差し込まれると、さすがにどうかと思うが、テレビ電話によるカットバックというのは上手いなぁと思う。これはむしろ、そのカットバックが正しいし、だからこそ、画のサイズも変わる。未来の話の中で、すごく自然に入っていた。

説明をできるだけ排して、淡々と描いていく。焦点となるAIロボのメモリーとして、数秒の映像データがいくつも流れるシーンがある。AIロボが観た一瞬の風景が残っているという設定なのだけど、その断片の、一つ一つの映像が、様々想像をかきたてる。そして何気ない、お茶を淹れるシーンや、雨の降る中庭に出て空を見上げるシーンなどが印象的。

映画を観終わってから、お腹が空いて、シャンテ近くの中華屋へ。営業時間のお知らせが10時から深夜3時半と書いてあり、凄いなぁと思う。生姜焼き定食に餃子が3つついてきた。横の四人掛けテーブルに年配の男性4人組がいる。楽しそうに話をしている。「晴海通りを14歳の男の子が封鎖したんだぜ、警察がきてさ、通勤時間に。たいしたもんだよな」と盛り上がっている。前後がわからず、どんな物語かわからないが、謎の子供の武勇伝を面白そうに話す感じがなんだか良かった。