東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『go on 高円寺』

嫁氏が送って、一週間以上音沙汰がなかった封筒は、結局嫁氏の元に、住所不明の注釈付きで戻ってきた。住所は一文字たりとも間違えてない。郵便番号だって書いている。推測ではあるけれど、配達人が隣のウィークリーマンションと勘違いをし、部屋番号が書かれてなかったので『住所不明』として戻したのだろう。

それこそ『豊島区南ウペポヌギリンダ5-6』とか、こちらで適当につけたものを住所と僕が勝手に呼んでいるのならば、そこに届かないのも文句は言わないのだけど、すでに決められた住所を書いて届かないっちゃあこれはどうすればいいのだろう。重要な書類で、諸々急いでいたもので嫁氏が取った策が、住所の横に画像のような注釈をいれるというものだった。なんとも。



日曜日。観たいものが2つ。吉祥寺の爆音映画祭で上映されている瀬田なつき監督の『彼方からの手紙』。高円寺で上演されている遊園地再生事業団の『ジャパニーズスリーピング』。『彼方からの手紙』を観ると、『ジャパニーズスリーピング』の芝居の当日券を買えない。当日券を買う為に高円寺に向かえば『彼方からの手紙』は観れない。悩む。しばらく悩んでから、掃除機をかけ、インスタントラーメンを食べて、さらに悩み、結論として高円寺へ向かった。
久しぶりの高円寺。当日券を買いに向かう前にぶらぶらと歩いてみる。かつて舞台に立ったことがある高円寺明石スタジオは健在だった。古着屋がたくさんあるし、高円寺は散歩が楽しい町だなと思う。
商店街を歩いていると、小さな看板を発見。矢印は路地の奥を指しており、古本屋と書かれている。誘われるままに路地を進むと、かつてスナックだったスペースを改装して、古本屋にしている店だった。在庫がたくさんあるわけではないのだけれど、並んでいる本にお店の方のこだわりを感じる。ウディアレンの短編集なんて興味深い本もあった。悩みつつもサルトルの『嘔吐』を購入すると、会計の際にお店の方が「いいですよ。『嘔吐』。特に最初の5ページくらいまで、グッときます」と声をかえてくれた。


夜。初めての『座・高円寺』。『ジャパニーズ・スリーピング/世界でいちばん眠い場所』のリーディング公演を観劇。戯曲を構成する章をチャプターという呼び方で表し、それを順番通りにではなく、ランダムに上演するという形で構成された作品。対話というよりは、一方の話し手の問いかけに対して、もう一方が受け答えをするというのが、基本的な形であるのだけれど、その受け答えは独白をするというような形の台詞で、一台詞が非常に長い。基本的に、問いかけは「世界でいちばん眠い場所はどこですか?」であり、それが繰り返し問われる。それに対する答えは、演者各々の言葉で語られるが、それは同じ言葉の反復の様に聞こえる。個の単位で台詞の反復があり、構成の単位でも同じチャプターが繰り返し演じられる等、反復がある。そこで語られる繰り言は、確信のある言葉とば違って、書き手の、そして役者の問答であって、まさにその問答そのものが舞台に存在していて、その不安定さの中に、表現というか、何か浮かび上がってくるものがあるような気がする。繰り返し語られる言葉、舞台。なんともいえない心地になる1時間あまり。


それにしても天気め。にわか雨に注意と言いながら、結局降らないここ3日。結果、洗濯が出来ず、汚れ物がたまる始末である。とはいえ、さすがに雨の予報がでているときに、ベランダに干して外出する勇気無し。