東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『再開とその前の雑記』

日々雑記。覚えている限り。


6日。仕事をしてると谷川さんから連絡をもらう。仕事終りに会おうということになり雑司ヶ谷の『ROCKET CAFE』で1杯飲みながら話しをする。芝居の話しになる。方法論に特化している芝居についていろいろ意見を交わす。個人的には、様々な舞台表現があって、それがどのようなものであってもその舞台を観ることで刺激を受ければいいのかなと思う。とはいえ、個人的には、舞台上でギリギリのバランスで『立って』いる俳優の姿を観たい。


8日。夕方になって以前の職場で一緒だったAさんから連絡を受ける。池袋駅前で『ふくろ祭り』なる祭りが行われているとのことで、それを見物がてらAさんと合流。僕の家に移動し、近況等話しつつ酒を飲みつつ。


9日。仕事。その後、レイトショーにて『猿の惑星 創世記』を映画館で観る。吠える猿の声が、いいんじゃないかと。あと、音楽が、緊張感を高める。(と、それにしても猿と表記していいのか。映画を観る限りはチンパンジーだ。)CGどうのこうの、といって毛嫌いするなら、もはや観る必要はないと思うけど、そういう風な拒絶をかます人は、もう映画をみなきゃいい。CGの有無に関わらず、映画はどこをどう切り取っても『人為』的なものだけで成立しており、映像に映る全ては、作為の固まりだ。偶然はない。そもそもカメラも照明も技術だ。CGにだけ目くじらを立てて拒絶する根拠の薄さは理解できない。


10日。快晴の一日。維新派の『風景画-東京・池袋』が西武百貨店の4Fの広場で上演していたので、おさむしと観る。座席の指定がなかったので、私のわがままで一番高い位置にある、最後方の席で観劇させてもらった。ちょうど日暮れのタイミングからの上演だったので、ビルとビルの間に、夕日が沈んでいくのが見える。見晴らしがいい。
維新派、初観劇。統制のとれたパフォーマンスを役者は要求される。立ち位置や台詞さえも。そういえば弛緩の中で出現する身体をパフォーマンスとして舞台にあげる芝居ばかり観ていたような気がするけれど、そういうものから考えると維新派が志向する身体はずいぶんと違う、気がする。では、そこが、池袋の、東京の、今の風景のどこと接するのだろうと考える。
開場の際に、舞台上の装置のいくつかに照明が当てられており、開演直前にそれらの照明が消える。野外劇であり、まだ完全に日が落ちきってなかったのでその照明が消えても舞台上は明るいのだけど、その照明が消えたことで一瞬舞台全体が暗くなったような錯覚があった。それが個人的にはよかった。JRの線路を走る電車の走行音が響くのも、舞台に影響を与える音楽としてとてもよかったと思う。

その後、おさむしと食事。さらに宮嶋くん、谷川さん、家常さんが合流してくれて久しぶりに飲んで話しをする。
家常さんが家で、カレーを作った話。いろいろな材料を混ぜて混ぜて混ぜた果てに、味がまったくしないカレーが出来上がったという話しに爆笑。


11日。仕事。
12日。仕事。
13日。仕事。
14日。仕事。
家に帰ると、ぼんやりしがち。で、映画を観たりする。

中平康狂った果実
黒澤明『白痴』
今村昌平『にっぽん昆虫記』

どの作品も面白いと思うもののの、気分的なものか、どうも気持ちが乗らず。で、小津安二郎の『秋日和』を観る。小津さんのカラー映画が、どういうわけか心地いい。色合いだろうか。なんだろう。

15日/16日。嫁氏と娘子と猫のみぞれを山形に迎えにいく。娘子は相変わらず元気だった。駅にて再開を果たした時、若干の「誰だっけか?」感を出されたが、そこはすぐに「高い高い」をすることで笑顔を取り戻し、それ以上の危機的状況を回避。
山形も、まだそれほど寒くはなかった。嫁氏の故郷である新庄市は、ススキがいたるところで見ることが出来る。詳しくは知らないけれど、「サクラ前線」という言葉と同様に「ススキ前線」というのもあるそうで、日本で一番最初にススキが見れるのが新庄市なのだという。8月の新庄祭りが終ると、ススキが見えるようになり、それがいわゆる秋の始まりとなる、というような。
個人的に、ススキを見るのが好きで、なので、新庄市を車で走る時、車窓から見えるススキの風景はなにやらいい。で、今、住んでいる池袋は雑司ヶ谷にはススキを用いたミミズクの民芸品がある。家にも飾っている。まぁそれはそれとして。

かつて撮った自主映画にも使った話しなのだけど、子供の頃、ススキに触れると手を切るからさわっちゃだめだよと母に注意をされていた。それは、ススキの葉の部分のことを指してのことだったのだけど、子供の頃の僕は、ススキの、あの白い部分さえも触れると切るのだと思ってしまい、ずっと怖くて近寄れなかった。秋になると、家のまわりの空き地にもススキは出てくるのだけど、ススキのある場所には近づかなかった。空き地で、風に揺れる白いススキ。だんだんと風が冷たく感じられる季節の中で、「怖さ」も相まって不思議なポジションとして存在していた。


それはさておき、久しぶりに親子3名と猫1匹の生活が再開。娘子はトマトとお味噌汁が好きらしく、最近は自分でスプーンで飲もうとする。