東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『実家の音風景/動物園に行った』

一泊二日で僕の実家に行く。父と母は元気だった。娘子も「ジジ、ババ」と楽しそうに接してくれた。特に父に対しては、以前に帰省したときにどこか緊張し接することに遠慮がちだったので心配していたのだけど、今回はブロックで父と一緒に楽しそうに遊んでいたので、うれしかった。


不思議な偶然で、僕らが戻ったその日に、嫁氏の実家の義母さんから山菜が実家に届いていた。たくさんの種類の山菜が結構な量、送られており、僕の母は調理方法も保存方法も詳しくなかったので、嫁氏がモロモロ料理をして、その日の夕食として並んだ。義母さんは僕らが実家に行く事を知っていたわけではないので、本当に驚くようなタイミングとしかいえない。父と母にしてもせっかくの山菜を美味しい料理法で食べれたのだからそれはそれで有難いところだし。食後にうちの母がお礼の電話をいれて、その時に事の顛末を話したら驚いていた。いずれにしても不思議で絶妙な偶然。


あと、兄がいつの間にか家を出て一人暮らしをしていた。以前に帰省した時に父が「一人暮らしをさせる」と息巻いていたが、まぁ当分はそんなこともなかろうかと思っていたら、意外にもあれよあれよという間に事は進んでいた。同じ市内ではあるけれど、ひとまず一人暮らしをしているとのこと。その性急さも、外から見ていると驚くけれど、まぁ一緒に暮らす身として思うところもあったのだろう。


夜。久しぶりに実家で寝る。窓の外ではカエルが鳴く声が聞こえる。近所は道路や新しい住宅がどんどん建っていて、さすがに田んぼの数はずいぶん減った。とはいえ、まだ残っている田んぼや草はらでカエルが鳴いているようだ。子どもの頃はずいぶんと聞いた音。娘子に「カエルの鳴き声」だよと言うと「ケロ、ケロ」と耳をすます。予報で言っていた雷が遠くに聞こえ、雨の降る音が聞こえる。そしてカエルの鳴き声。どこか夏のような天気の夜。


翌朝。昨日は、寝る直前まで「ジジ、ババ」と興奮気味だった娘子は、寝起きに父を見て目線を逸らして僕にしがみついてきた。食事を摂り終わる頃にはもう大丈夫だったのだけど、なにか寝起きのテンションのようなものがあるのかもしれない。


父と母には恐縮だったけれど、朝わりと早くに家を出る。せっかく実家の方に戻って来たのだからと、東武動物公園という車で行ける動物園に行く。記憶を辿っても、僕自身がその動物公園に行くのは小学生以来。ほとんど覚えていない。平日の動物園は、それなりの人の入りで、ストレスなくまわることができた。平日にフラフラできる有難さ。ライオンや象、キリンなどひさしびりに実物を見るとやっぱりそれはそれで面白い。当然、娘子もはしゃいでいたけれど、たまに「行ってみる?」と言ってくるので困る。最近覚えた用語で、気になるものは手に触れる距離に行きたいようで、そういう時に言ってくる。象のオリの前で「行ってみる」と言われても、うろたえるしかできず。

少しばかり施設内の遊園地の方にも行ってみた。かつて行った記憶と少しばかりギャップがあったといえば、そこはやっぱり少々田舎にあるテーマパークだったのだなぁということだろうか。かつてはなんでも楽しいことがある夢の場所のように感じたけれど、改めて来てみるとどこか積み重ねた年月を感じる遊園地だ。もちろん、それは30歳過ぎの大人の目線だろうから、嬉々としている子どもの感覚とはずいぶん違うだろうけれど。とにかく楽しかった。動物園を出て、車に乗ろうとした時、娘子が「ジジババのところに行く?」って言ってくれたのがうれしかった。彼女の中で、それが僕のであれ、嫁氏のであれ実家に行ってジジやババと接することが楽しいひと時であるのならばやはりうれしいことだ。


家に帰って、風呂にいれたらさすがにすぐに眠ってしまった。ずいぶんと動き回った。疲れたのだと思う。ゆっくりと寝て、また明日は元気に遊んでくれたらいい。