東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『非情城市と風邪』

tokyomoon2014-12-11

風邪を引いた。やけに寒いなぁと思うことが多かったけれど、目覚めたら頭痛と腰痛が酷い。鼻水も止まらず、これはきてしまったと思った。いつもは関節が痛むのだけど、それは今回は無く、いつもとは症状が違う風邪。もしやインフルエンザかと思い病院へ行ったけれど、体温は平熱。インフルエンザも陰性。

ただの風邪。

そうはいっても調子は悪い。目の奥が痛い。薬を処方してもらいそれを飲んでいるがまだまだ治らない。選挙の報道でいちいち気分が悪くなるからかもしれない。報道を聞いていると滅入ることばかり。そんな中で火曜は1日会社を休んで横になっていた。それと少し散歩をする。大鳥神社の銀杏の葉が落ちて地面が真っ黄色になっていてびっくりした。日差しが暖かいと少し歩くだけで汗をかく。


嫁は娘を迎えに行った後、幼稚園の友達の家にでかけたので一人で留守番をすることに。それで候孝賢監督の『非情城市』のDVDを観た。冒頭、玉音放送がかかる中で子供が生まれる描写。太平洋戦争終結後、日本の植民地支配が終わり希望が生まれるかと思ったのもつかの間、大陸の弾圧に苦しめられる台湾の人たちを描いた作品。台湾や上海の言葉と共に、不意に日本語の会話があったりと、日本の影響を垣間みることができるのも含めて、目が離せなくなる。印象に残ったのは、主人公たちの家族の長男が、かつて父親に連れられて散歩にでかけた時のことを最近よく夢に見ると言って語るシーン。ポツポツとその夢を語るが、それは想い出というには酷なもの。遊ぶ金をせがんで、息子を縄で電柱に括り付けて金を持って遊びにでかけてしまうという話。寒さの中で、危うく凍え死ぬところをたまたま通りすがった人に助けられたという。それ以降、何があっても父と散歩にはでかけなかった、と淡々と語り、お茶を飲む。憎悪があるようでもない。かといって当然、懐かしい想い出を語る楽しさもない。ただ、最近よく見るという夢を、淡々と語るその姿が良かった。


でも、まぁ、そういうDVDを風邪気味の時に観るべきではないのか。風邪は一向に治らない。今日も治らぬまま朝を迎える。久しぶりに娘を幼稚園へ連れて行く。いつもは走らんばかりに幼稚園へ向かうのだけど今日の娘子は遅々として進まない。表情も暗い。幼稚園へ着くと、いつもは先生や他の保護者の人たちに明るく挨拶をする娘なのだけど、今日は誰とも挨拶をしない。どうしたのかと先生に訊ねられる。「おとうさんとおかあさんと離れるのが寂しい」と言う。幼稚園の先生曰く、自分の中で悲しいことを想像して、それが膨らみ過ぎて、勝手に落ち込んでしまうのだという。それはそれで想像力が豊かなのかもしれないが。結局、その後、幼稚園が始まってしまえば明るいいつもの娘に戻ったらしい。