東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『「山怪」と夜の新宿逍遥』

佐渡からの帰りの新幹線。椅子のダッシュボードにフリーペーパーがあるのだけど、それが興味深い見出しで手に取った。

 

「山人が語る、世にも不思議な物語」

 

ページをめくると秋田や岩手の山にまつわる不思議な出来事をまとめた「山怪」という本を紹介した特集が載っていた。それは創作された話しではなく、深い森をかかえる山やその周辺に暮らす人々が体験した話しを聞いた著者がまとめた本。創作ではないので、完成された物語ではなく、切れ切れに語られる出来事なのだけど、それがなんだか面白い。怖さもある。怖いというよりは畏れとでもいうべきか。著者の田中康弘さんのお名前をどこかで聞いたなぁと思ったら、先日、「仕立て屋のサーカス」の出張本屋さんで購入したマタギ関連の本の著者の方だった。偶然というのは不思議なものだなぁとつくづく思う。ここ最近、マタギのドキュメンタリーを見たり、マタギの本を読んだり、その生き方、考え方にとても興味を持っている矢先に、またそういう暮らしをする山人の話しをまとめた本に出会う。その不思議。

 

それで、東京に戻ってから、仕事帰りに新宿で「山怪」を買おうと本屋へ。夜21時を過ぎていて開いている本屋は限られていた。新宿三丁目から出やすい本屋は、南口のブックファーストだった。記憶を頼りにルミネに行くと自分が思っていた場所にブックファーストは無く、もっと西口寄りだった。で、ブックファーストでウロウロする、が、目的の本は見当たらない。店員さんに聞くと「取り寄せ」とのこと。残念だけど、ここで諦めるのも嫌だなぁと思い、さらに西口のモード学園のある建物の中のブックファーストへ。新宿駅サブナードの中を歩き向かう。この日はよりにもよって暑く、なんだか歩くだけで疲れた。ようやくブックファーストに着き、まずは売り場を探すだけで一苦労。僕は、どうも目的の本を探すのが下手で、いつも迷ってうろうろする。ようやく目的の棚へ辿りつくと、無事に「山怪」を発見。こんなことなら最初からここにくれば良かった。

 

西口から再び、地下道を歩いて、新宿三丁目駅へ。よくよく考えたら、新宿三丁目駅から南口を越え、西口へ向かい、東口を通り過ぎて、再び三丁目駅へ戻ったことになり、新宿を円周にぐるっと歩いたことになった。山にまつわる不思議な話しを購入するために、賑やかな都心を歩き回ることになるとは。それもなんだか不思議な夜。

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