東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『40代について/百円の恋』

土曜日。天気が悪く、冷え込んだ。とある仕事で、20代の若い人たちが、自分が40代になったときのことを想像して語るという話を聞いた。彼らにとって40代はずっと遠い未来の話で、それはあくまでも想像の世界の話に近いような感じだろう。考えてみれば、僕もそうだったと思うし、20代の頃の40代なんて、なんなら想像もできないような先のことだったと思う。40代の今となっては、まぁ、なってしまったものはなってしまった、というような実感、としか言いようがない、か。とりあえず、死なずに生きていて、今に至っている。父や母を見ていると、40歳になっている時は、もっと大人になっていると思った。なんというか考え方というよりは、外見というか。いや、自分が老けてないということではなく、別に分相応なおっさんだと思うけど、なんというか、もっと『大人』になっていると思った。では、まぁ『大人』はなんなのかというとよくわからないし、子供なのか、と言われれば子供でもないだろうけれど。

『大人』になっていると、いろいろなことにきちんと理路整然と向き合えるのかと思った。が、目の前のことにいらいらしたり、怒ったり、そして笑ったり、喜んだり。自分が10代や20代の時の感覚と全く変わってない。そんなもんなのかなと思いつつ、今に至り、彼らが語る、来るかどうかもわからないようなずっとずっと先の場所にある40代についての言葉を聞いている。

夜。友人の家常さんたちが忘年会をやっていたのだけど、また仕事で間に合わなかった。不義理ばかり。本当に全然ゆっくり話もできていない。

仕方がないので、帰宅してから、映画を観る。

武正晴監督『百円の恋』。ようやく観た。息苦しいなぁ。まだ、主人公が無気力で、生活に対して悲観的であるわけでは無い中で目的を見出して、ボクシングに生きがいを感じることができたけど、例えば、コンビニの店員、店長たちの姿を見ると、その生きづらさに辛くなる。なんだろう、この現代的な生きづらさは。元店員で、期限切れの弁当をかすめとっていく老女の生き生きとした振る舞いは、なんというか実在しないような浮遊感があって、なんというかそうはできない男たちの逃げ場のなさ(新井浩文さん演じるボクサーもまた然り)が重い。映画としては、とても素晴らしく、観終わった後にシャドウボクシングしたくなるような映画だった。それは間違いない。