東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『軍隊と指輪物語』

■ 勝手に宣伝するんですが、僕が好きなバンドかげわたりのライブが今週の土曜日8日にあります。場所は僕もお世話になった六本木EDGE。詳しくはかげわたりのホームページを参照してください。かっこいいバンドです。


■ 先日、テレビで『ロードオブザリング 王の帰還』が放送していたけど、映画に出てくる男たちはなんとも勇壮でした。己の命をかけて戦いに挑む姿は詳しくは判らないのだけど騎士道精神という言葉を彷彿とさせます。


三浦雅士さんの著書『身体の零度』(講談社選書メチエ)の中に中世以降の軍隊史について書かれている文章がある。中世から近世にかけて軍隊史の大きな変化として騎士から傭兵への変化というのがあったという。傭兵とはつまりはお金などなんらかの見返りをもらって仕事として戦闘に臨む人たちだ。例えば行進などキチキチッと行動するイメージがある今の軍隊と比べて傭兵は戦場においても酒と女と掠奪がすべてといった具合だったという。当然、団体行動などしない。そういった「雇い人足」としての傭兵ではなく「国のために戦う」という意識のもとで徴兵を行い、軍隊を作り出したさきがけとしてナポレオンの名前が同著では挙げられていた。これはちょっと興味深い。そして近世から近代にかけて軍隊は傭兵から徴兵へと移っていった。その中で今の軍隊を形作るような教育が国策の一環として色々な部分でなされたのだろう。日本においては意識的にそういう改革が行われたのは明治時代に入ってから。「お国のために」といった意識で戦争をするというのはそれこそ明治時代以降に作られたものなのだろう。時代背景がいつごろなのかよく判らないけど『ロードオブザリング』において戦争に挑む人たちの姿がきちっとしているのは、そこには徴兵としての兵士の姿がつまり近代以降の兵士の身体が多少なり描かれているからではないか。この世界とは別の世界を描いたファンタジーとはいえ、今の時代を生きている原作者の目線というものがどこかしらに反映されているはず。まぁエルフやドワーフの世界において軍隊が徴兵なのか傭兵なのかは判断つかないですが。


■ あと『ロードオブザリング』を見ていて気になったのは主人公フロドと共に旅をするサムがいつもは「フロド様」と丁寧に呼んでいるのになんかしら興奮状態になると「だんな」とどこかべらんめぇ口調のような喋り方をしていたことだ。江戸っ子か。もともとサム役を演じた役者の喋り方がそんな感じだったのだろうか。それとも日本語訳をした人のちょっとした一工夫なのだろうか。気になるところです。たまに江戸っ子のようになって怒ったりがんばったりするサムが大活躍の『王の帰還』でした。