東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『普段行かない場所のお祭り、など』

土曜。仕事で横浜の方へ行く。東横線に乗ると職場から横浜までは意外とあっという間。横浜の地下街を通って、市営地下鉄で目的の駅へ。駅前で祭囃子が聞こえてきた。ポスターが貼ってあり、この日に近所の神社で例大祭があるようだ。この季節の祭禮が好きだ。

 

仕事を終えてから、その神社に少し寄ってみる。境内には屋台がいくつか出ていて、子供達が楽しそうにしていた。神社によって方針が違うのかもしれないが、この神社の狛犬がなんだか漫画チックで、威厳は特になく、ドラゴンボールで出てきそうな狛犬だった。少し散策してから市営地下鉄で横浜へ。普段乗っている東京メトロと違い、市営地下鉄は新鮮な気持ちになる。自分がよそ者で、自分の知らない街にいることを強く感じる。横浜で降りて、ブックオフへ行く。昨日、読み切れなかった本をやはり読もうと思い、探してみた。が、人気の作品なのか在庫がなかった。きちんと本屋へ行けばいいのだけど、なんだかそれも少し悔しい気持ちもしており。横浜の駅前を少し歩くと賑やかだ。都市によくある繁華街のにぎやかさ。こういう街を歩くとき、そこが自分の住んでない街だから余計によそ者の気持ちになる。それはそれで楽しいのだけど。で、横浜から都内へ戻る。東横線で、うまいこと座れたので、座ると、そのままうとうとしてしまい、気が付いたら池袋だった。時間は21時を過ぎていて、新宿西口のブックオフは23時まで、とのことなので、そこへ行こうと、そのまま副都心線で、新宿三丁目まで戻る。三丁目から東口の地下街経由で西口方面へ歩いてブックオフへ。知り合いから聞いた話だと、西口にある東京モード学園コクーンタワーは丹下健三さんのデザインなのだという。知らなかった。1Fのカフェの付近は一般の人もうろうろできるらしいので、今度、中をうろうろしてみようと思う。で、それとは別で、ブックオフ。新宿西口にブックオフがあることもしらなかった。入って物色してみたが、ここでも見当たらず。断念。まぁ、仕方がない。その代わり、読みたい本がいくつかあったので、それを購入。で、店を出て、新宿三丁目駅に戻ろうと今度は南口、甲州街道に沿って歩く。土曜の夜も新宿は賑やか。路上ライブをしている人たちがたくさんいる。外国の観光の方が写真を撮っていて、その後姿をなんとなく写真に撮る。

 

家に帰り、筋トレしながら映画を観る。アルノー・デプレシャン『あの頃、エッフェル塔の下で』。普段、あまり前情報をいれずに映画を観るので、これが20年ほど前の作品『そして僕は恋をする』という作品と少し関係があることは後から気づいた。そもそも最初は何かサスペンス映画のようにも思えて、そういう作品かと思ったら、途中から急激にラブストーリーに方向転換された。手紙のやりとりを交わす10代の少年少女のラブストーリー。スマートフォンがある今となっては毎日のように繰り返される手紙のやりとりというが考えられないが、そのもどかしさ、手間、制約がかえって二人にとって何かしら、二人の関係性を強くするきっかけになっているようにも思う。気恥ずかしくなるような言葉も、書き出したら止まらなくなり、やがて映画の中で、その言葉自体が、彼らの口から発せられる。彼らは、時に、迷いなく、カメラに向かってまっすぐにその言葉を口にする。無謀だろうが、結局終わってしまう関係だったとしても、それは振り返って後から見れば、結果的にそうなってしまったというだけで、手紙を書いていた「いま、ここ」では、彼らの言葉はまぎれもなく真実だった。僕は、その、「いま、ここ」をひたすら、情熱を持って生きることを肯定したい。ベルリンの壁が崩壊する映像をテレビで観ながら、主人公は涙をながす。「喜ぶべきことじゃない?」という問いに対して、「僕の少年時代が終わった」と語るのは、彼が10代の時にソビエトで過ごした一時代の歴史の証明みたいなものが、文字通り、無くなったからだろう。映画の終わり、パリの街を歩く年を重ねた主人公を演じるマチュー・アマルリックに向かってどこからともなく風が吹き、無数の手紙と思われるものが風に舞い散り、主人公を通り過ぎていく。その1枚を拾い、微笑む姿は、同じくデプレシャンの作品『クリスマスストーリー』のクライマックス、降り始めた雪を見上げる姿にも重なり、あらゆる諸々の良くも悪くもすべての事柄を、その時その場ではすべて受け入れるようなやわらかさの表情だと思う。