東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『シエンシヤとファンタジヤ』

朝が早い仕事が続くこともあり、つい実家に戻ることを怠けてしまっている。そんな最中、母も微熱が続き、「うつすとよくないから」と言ってくれることを都合よく解釈してしまい、仕事とか自分のことばかりをやっている。

仕事のこともあまりうまくいかないことが続いていて、いろいろなことになんだか少し、靄がかかっているような気持ちになる。

土曜の朝、少しばかり朝寝坊をしてぐっすり眠った。目が覚めて、気分転換にと掃除をして、台所やトイレ、玄関を掃除して、草むしりもする。それから思い立ち、要らない服を整理する。基準はここ一年着てるか着てないか。少し後ろ髪をひかれる服や、以前は気に入って着ていた服もいさぎよく処分。都合、45リットルの袋で、2袋分くらいの量になる。引きずってしまう性格の自分としては潔いほうだと思う。

一息ついたので、少し外へ。着信が入っていた電話をかけ直すがつながらない。スケジュールを調整していた打ち合わせがなんだかできずにズルズル後ろ倒しになっている。マスクをしているとなんだか息苦しい気持ちになるので、マスクを外して深呼吸をする。

他人には言わないこと、言えないことは多々ある。仕事についても、それが自分のスキルの足りなさなのか、よくわからないところがある。何かを行うと、どうしても他者と関わりを持たなければならない。当たり前のことだけど、それがなんだか少し煩わしくもある。

夕方の新宿御苑に行く。人は多いけど、そろそろ陽が傾いてきたので帰る人たちが多い。風がたしかに冷たい。園内を歩いて、陽が当たるベンチに腰を下ろす。少し仕事。新宿のNTTタワーという一際高い建物に夕陽が重なり、日差しが当たらないと途端に肌寒くなる。マスクを外していると園内を回る警備員の人に「マスクをつけてください」と注意をされた。一人の僕は誰とも話すことはないのだけど。

なんというか、うまく深呼吸ができてない。

坂口恭平さんの『徘徊タクシー』。祖父が亡くなったこと、祖母とやりとりを始めたことをきっかけに認知症の人たちの行きたい所へいくという『徘徊タクシー』という仕事を始めようとする主人公。小説の中盤まで希望に満ちてその起業に向けて活動する主人公だけど、社会的な事情でその活動がうまく進まない。そんな最中、たまたま出会った一人の老婆とM31(アンドロメダ)を目指す旅へ出かける。その道中、プラネタリウムを観ている時に語られる説明映像の中の言葉。

宇宙旅行に飛び出すにはシエンシヤ(科学の力)とファンタジヤ(空想)が必要だ』

世の中は社会の制約で諸々ままならないけれど、生命力は社会のおさまりとは別の次元で営まれる。コロナはどう考えたって野生の、とてつもない生命力の猛威であって、緊急事態宣言やまん延防止措置といった社会的な制約では対処のしようがない。もちろん、それをしないことには何も進まないのだろうけれど。

夜は家族で御飯。池袋の中華の店に行ったけど、思いのほか、アジアの方が多く、様々な言語が入り乱れており、日本じゃないような気になる。混雑していて店に通されたのは20時45分。閉店は21時のはずだったけど、そのあたりはあまり気にしてないようだった。周りにもお客さんがたくさんいた。美味しい鍋だったけれど、食べ方含めて正解なのかいまいちわからなかった。帰り道は肌寒かった。学年が一つあがった娘の近況を聞く。よくわからないけれど、何かの活動を頑張るとビー玉がもらえるシステムらしく、今、9つためたと得意げだった。9という数字が好きじゃないから、今度駄菓子屋に行った時、ラムネを買ってこっそりビー玉を足そうと思っているといったので、そりゃだめだろうと言っておいた。

日が暮れて、さすがに肌寒くなってきた。4月半ばとはいえ、なんだかまだ寒暖差が厳しい。